第一物語・後半-日来独立編-
第三十四章 魔女は翔び、鳥は飛ぶ
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、二人の魔法術師は叫んだ。
「「頑張って――!」」
返事は聞こえて来ない。何も返そうとはしない。
聞こえていないのか、返事を返す気が無いのか、急いでいるためなのか。
一線を描き、西貿易区域へ飛ぶのを見ていた二人は、姿が確認出来なくなると別の組に加わるために動き出した。
●
日来の左舷前方船・日暮の貿易区画の下層一層目、機械部やらそれ以外の者達が多数集まっていた。
彼らが集まっている中心には作業用騎神が立っており、数人その騎神の近くにいる。
映画面|《モニター》を表示して、何やら作業をしているようだ。
「全く、黄森の連中。アタイの緋翼のロックだけは頑丈にしやがって。普通、他人の騎神いじんないだろうに」
「普通はね。だけど彼ら普通じゃないから」
「アンタそれ、黄森の連中ら全員敵に回すよ」
「くっちゃべってねえで、さっさとやらんか。ジューセンはしっかりやってるぞ。奴を見習ってほしいもんだな」
ゴーグルを付けた、スキンヘッドの褐色男性の大人に入直と継叉は叱られた。
一方のジューセンは騎神の装甲を何かを探すように確認しており、黙々と作業をしている。
「ジューセンは口数が少ないだけだろに」
「だよね。家族いっぱいいるし、絶対家ではよく喋ってるよ。人前では口数少なくしてクールぶってるんだよ」
「……俺は家でもこうだ……」
「こう言ってるぞ、てめえら」
「てか、なんで増田さんはジューセンの味方なんだよ」
「よく働く奴には面倒見を良くする主義でな。お前らもさっさのそうなるように頑張れよっ」
「ウザいね、凄くウザいよ」
「全く同感だね」
口喧嘩まではいかないものの、恨みが感じられる会話だ。
周りの者達は彼らをなだめ、喧嘩に走らないように気を配る。
毎日の作業よりも、こっちの方がキツいと皆は感じた。
ジューセンは騎神の装甲を確認していると、目的のものを見付けた。
装甲の隙間に手を突っ込み、紙のような手触りを感じるそれを掴み、引っ張った。
「……これが最後だ……」
左手に握られてるのは、何やら複雑な文字が書かれた符だ。
しかし普通の符ではない。騎神を起動させないために貼られた封印符の一種だ。
その符を引き千切り、それと同時に騎神が唸り声を上げるように起動し始めた。
「おお、やっとか。騎神本体のロックと、起動のロック。二重ロックとはよくやるもんだねえ。にしても装甲の間に封印符を入れるとか、考えることが解らないねえ」
「とにかく起動したからよかったね。これはジューセンのお手柄だ」
「真面目に働いているか、そうじゃないかの違いだな」
何度見てもゴーグルとスキンヘッド、更に褐色が特徴的な増田は言った。
彼の言葉にジューセンは顔を横に振り、
「……俺はただ符を剥がしただけだ…
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