黄巾の章
第16話 「呼んだ?」
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く・ち・が、そんな事を言うのですかな?」
「い、痛いっ! やめて! 耳はやめてっ!」
訂正する。
でたらめ、改め、バカだ。
「可愛い『女の子』……? 歳を考えられよ、策殿」
「祭に言われたくはないわよっ!」
「なんじゃとう!?」
う……危ない。
思わず頷きそうになってしまった。
視線をそらすのと、感づいた祭殿がこちらを見るのが同時だった。
「なにかな、冥琳?」
「いえ、なんのことでしょうか?」
「ふんっ!」
祭殿は絡み損ねたと、鼻を鳴らす。
ふう……
「ともかく! 雪蓮の勘を疑うわけではないが、不確定要素が多すぎる。おまけに相手の了承も取れていない。そんな話を蓮華様や小蓮様にするわけにはまいりませんな」
「うー……でも、多分今を逃すと、二度と孫呉には来てくれなさそうなのよねぇ……」
「それも勘だと?」
「うーん……ちょっとわかんない、かな。孫呉には来てくれても、心から孫呉のためにってのはたぶんこれが最後、みたいな?」
「ふむ……」
確かに天の御遣いの風評、それに多数の敵を損害なしで殲滅する智謀、その上武将ですらあるという。
もし本当ならば、たとえ夫にしても引き入れたいと思うのは当然かもしれない。
だが……
「彼は……すでに劉備を、主としているのだろう?」
「あ、それは違うみたいよ?」
「なに?」
「義勇軍をまとめているのが劉備らしいんだけど、その人の臣ってわけじゃないみたい。あくまで力を貸しているって感じ? まあ、劉備って娘には会えなかったんだけどね。あと、彼の元にはすでに三人の臣がいるそうよ」
「ほう。義勇軍なのにか」
「うん。えーと、はわわ軍師とあわわ軍師と髭おじさん、だっけな?」
「なんだそれは」
それは……臣なの、か?
「兵の人から多少話を聞いた限りじゃ、それぐらいだったの。詳しくは調べてもらえる?」
「ふむ。よかろう。ただでさえ興味がある男だ。細作に詳しく調べさせよう」
「あら? 冥琳が男に興味を持つなんて……ひょっとして、惚れた?」
「ふん、ぬかせ。我ら孫呉の夫にしようとしていたお前がなにをいうか」
私と雪蓮は、そう言って笑いあう。
さて……確か、北郷盾二、といったな。
あの男のこと……詳しく調べねばな。
―― 盾二 side ――
……疲れた。
辺りは夕闇に包まれ、篝火が周囲を照らす頃。
俺は天幕の中で、溜息をつきつつ椅子に座る。
孫策さんの夫発言があってから、霞はにやにやしっぱなし。
翠は情緒不安定で、怒ったり叫んでいたり……
朱里や雛里は、どこから聞いたのか……朝には質問攻め、その後はなにやらこそこそと……
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