黄巾の章
第16話 「呼んだ?」
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で頼む。
誰かどうにかしてくれ!
「いいかげんにせんかーっ!」
スパーン、という軽快な音と共に、隣にいた孫策さんの頭が沈む。
「いったーい! 誰よ、もう!」
「儂じゃ!」
振り返ると、褐色の肌の豊満な胸の女性がいた。
……でかいな。
「なによぉ……祭じゃない。邪魔しないでよ」
「邪魔もなにもあるか! ここは陣内じゃぞ!? 兵の士気に関わるからやめい!」
「これは将来の孫呉に関わる事なの! 黄巾なんか後でどうとでもできることなの! だから……」
「だから、なんだと?」
おや?
別のところからも声がする。
振り返ると、黒髪でこちらも褐色の肌の女性が、こめかみをピクピクしながらこちらを睨んでいる。
……さっきの人ほどじゃないけど、こちらもでかいな。
「あ……冥琳」
「『あ……冥琳』ではありません。孫策様……ご自分の立場をわかっておいでか?」
「や、やーね……ちゃんと真名で呼んでよ……わ、わかっているわよ? わかっているからこうして……」
「こうして?」
「……そ、孫呉のために子種をもらおうと……」
「戦場で?」
「………………」
「………………」
うう……
無言がつらい。
というか……いい加減、絡ませた腕を離してくれないかなあ。
「……はあ。わかったわよぅ……」
そう言って、すっと離れる孫策さん。
た、助かった……
「うちの『バカ』が失礼しました……」
「ちょっと、冥琳! バカってなによ!?」
「あぁんっ!?」
「ヒッ!」
うわ……あの女の人の一睨みで、孫策さんが後退る。
ちょっと、俺も怖かった……
「失礼しました……私は姓が周、名は瑜、字は公瑾と申します。孫策軍の軍師をしております」
「儂は、姓は黄、名は蓋、字を公覆と申す。孫呉の将をしておる」
ほお……かの名軍師に孫呉三代の武将、黄蓋か。
女性なのは、もう諦めた。
「ど、どうも……私は北郷盾二。董卓軍……というより、義勇軍を率いている劉備の軍師をしております。現在は董卓軍の軍師も兼ねていますが……武将として前線にも出ますので、よろしくお願いいたします」
「ほう……軍師であるのに武将でもあると」
「まあ、義勇軍ですからね。人材不足なので」
「ふむ……ちなみにお主が天の御遣いと聞いたのじゃが、ほんとうかの?」
黄蓋さんが尋ねてくる。
これ、毎回訂正しないといけないのかな……?
「正直、私にはなんとも。ただ、義勇軍の皆がそう思ってくれているのは確かではあります。まあ、この官吏が乱れた世の中で、誰かに助けて欲しいと願う民衆が、態のいい縋る存在として呼び出
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