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銀河英雄伝説 美味しい紅茶の淹れ方
美味しい紅茶の淹れ方
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た。
「まったく、私の部下はどいつもこいつも……」
軍務尚書は静かに嘆息した。


「元帥閣下の溜め息が聞こえるようでしたよ」
軍病院のフェルナーのもとへ訪れたシュルツ中佐は、穏やかな笑みを浮かべて上官の近況を伝えた。
「卿も言うようになったじゃないか。配属されてきた時は、真面目一辺倒のやつかと思ったがなぁ」
年若いシュルツへ多大な悪影響を与えた当人が、可笑しそうに翡翠の目を細める。
「誰かさんの感染力が強すぎるんですよ。影響されない方がおかしいというものです」
「おい、それじゃあ、俺がまるで病原菌じゃないか」
「それ以外に聞こえたとしたら、聴力に問題があるのかもしれませんね」
邪気のない軽口の応酬が、重傷を負ったフェルナーの気分を和ませた。正直な話、入院生活というものはフェルナーのように図太い神経を持っていたとしても、気の滅入るものなのである。
「それはともかく、何か用があって来たんだろう?」
職務時間内に見舞いに来たシュルツへ、フェルナーが幾分真面目な顔で問いかける。
「あ、ええ、そうでした。……これを届けに」
シュルツから分厚いファイルを受け取ると、フェルナーはベッドテーブルを引き寄せた。ラベルのないファイルをパラパラとめくり、概要に目を通す。
「ああ、ルビンスキーの件か」
そう口にしたきり、くすんだ銀髪の官房長は黙り込んだ。
ルビンスキー逮捕の報を、フェルナーは複雑な心境で聞いた。これまで必死にルビンスキーの行方を追ってきたのは、無論オーベルシュタインではあったが、実質フェルナーの主導であった。それが、逮捕の瞬間には病院生活である。流れから取り残されたような、心許ない気分にさせられていたのだった。ただでさえ、ラグプールの暴動を鎮圧できずに負傷し、小さくはない挫折感を味わっているというのに。
瞬時によぎった種々の思いを、フェルナーはどうにか払拭して言った。
「しかし、良くこんなものを持ち出せたな。どう考えても部外秘だろ、この資料」
フェルナーの指摘はもっともで、シュルツも承知していることであった。
「はい。ですが、閣下があえてこれを准将へ届けよと指示なさったのですから、きっと何かお考えがおありなのでしょう」
シュルツの返答に、フェルナーは思わず瞠目した。
「閣下が……?」
常のオーベルシュタインの行動からすると、そのようなことは考えられない。何しろ徹底した秘密主義で知られる軍務尚書である。情報の取り扱いについては、他の軍官僚の何十倍も気を遣っているはずであった。
信じがたいことではあったが、シュルツが嘘をつく理由もない。おそらく事実なのだろう。自身の中でそう結論を出して、フェルナーはふいに安堵感を覚えた。今この手に入った情報は、紛れもなくフェルナーが欲していたものだったからである。
「分かった。暇
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