ALO編
episode6 運命という名の偶然2
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「『閃光』っぽいよな……。SAOと違って、羽とかついてて妖精っぽいが」
「確かに、な…」
SAO世界で俺が見た最も美しい女性の一人にして、紛れもない『勇者一行』の一人。いや、『勇者』キリトのお相手たる『ヒロイン』の少女……『閃光』アスナに、そっくりだったのだ。
「もう一度飛んで行って確認は出来んのか?」
「無理だ。俺が上にいって枝につかまろうとしたら、もうシステム妨害が入った。二回目は一人分も飛べなかったから、もう外から確かめる方法は無い。となると後は、」
「中から、か……。お前さんの口ぶりからして、そいつは簡単じゃないんだな?」
「ああ。何せそれこそ、一年以上未クリアのグランドクエストだからな。俺も何度かやってみたが、全然全く突破力が足りなかったよ」
残る手段は、中……世界樹を守るガーディアンを突破して、噂の空中都市へと行くしかない。
撮影後、試しに何度かモモカ、ブロッサムと三人でちょっかいを出してみたものの、突破できる気配すらなかった。モモカなんかは「相手の演奏妨害音波、黒板引っ掻く音みたいできらいですー!」と悲鳴を上げていたものだ。
先へ進むのに必要なのは、力。
俺なんか及びもつかないような、『勇者』の力。
あの世界の、数々の戦場を思い出す。そこを駆ける、漆黒の影。二本の大剣を圧倒的な速度で振い、あらゆる敵を薙ぎ払い、切り裂き、最後には六千の命を助け出した、『勇者』の姿。
アイツなら、あるいは。
「……分かった。キリトに連絡を取ろう。シドは……」
「中で、もう少し情報を集めてみる。そう言えば、パッケージはあるか? 結構値段が、」
「若造に奢ってもらうほど、この店は苦しくは無いぞ。俺がすぐ買っておく。キリトなら、写真見せた瞬間に突っ込んでいきそうだからな。ハードは……」
「ナーヴギアで動くぜ?」
俺は何気なく言ったが、エギルは露骨に顔をしかめた。どうも俺がナーヴギアを被っているのが気に入らないのか……ああ、そうか、あれは、普通のSAO生還者には、『死の機械』だったな。……俺
にとっては、思い出の機械だが。思わず苦笑が口元に浮かぶ。
店主は俺の浮かべた笑みに何か言おうとしたが、それは飲み込んだようだった。
よし。一区切りを感じて、立ち上がる。
そして。
「……そうだ、俺の名前は、出さないでくれよ。アイツは、『彼女』について俺達が話しあったクエストのこと、知らないだろ? 知ったらまたウジウジ悩みそうだしな。『勇者』は、前を見るのが仕事だから、俺のことを知らせる必要はないさ」
「……そうか。……分かった。お前さんが、それでいいならな」
「おう。じゃ、コーヒー、御馳走様」
それだけ告げて
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