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とある六位の火竜<サラマンダー>
伝えるということ
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白井。とりあえずは納得したらしいので蓮は話を再開する。

「じゃ、俺は御坂さんを送るから松野は佐天をよろしく。」
「ちょっ……だから私は……」
「え?ちょっと神谷!?」

そう言うと蓮は有無を言わさずに御坂の背中を押してドアから出ていく。

「「「「…………」」」」
「……と、とりあえず帰るか。」
「あ、うん。初春、白井さん、じゃあね。」

蓮の行動に呆然としてしまい沈黙になるが、ギクシャクしながらも松野と佐天が出ていく。それを見送りながら初春と白井の2人は同じことを思っていた。

((本当に大丈夫でしょうか……))





「ねえ!ねえってば!」
「はぁ……なんですか?」

少し後ろを歩く御坂の声に歩みをとめないまま振り返って御坂を見る。

「一体なにがしたいの?」
「なにって……ラストチャンスですよ。」
「ラストチャンス?」

御坂は蓮の答えに首をかしげる。

「ええ。俺は自分の気持ちもはっきりしてないのに松野の邪魔しちゃいましたから。だから松野が佐天に気持ちを伝えるチャンスをもう1度つくりたかったんです。」
「でも、佐天さんにその気はないんでしょ?だったら……」
「そうじゃないんですよ。」

蓮の説明を聞いて、御坂がもう答えが分かるなら言わなくても。と言おうとすると蓮が遮る。

「結果が分かってるとか分かってないとかは関係ないんです。自分の気持ちを口にして伝える。それが重要なんです。そうすれば、諦めるにしても諦めないにしても前を向いて進むことができる。それに…」

そこで蓮は少し笑いながら言う。

「それに松野は諦める必要ないですよ。俺に喧嘩売るやり方は間違ってますけど、松野の気持ちは間違いじゃない。自分の気持ちがはっきりしてるならそれに向かって突き進めばいいんだけなんですから。」
「そうね。私もそう思うわ。」

蓮の言葉に御坂も笑顔になる。

「そういうことであの2人を一緒に帰らせたんです。分かったら帰りましょう。」
「そうね。ってなに1人でスケボー乗ってるのよ!?普通女の子を歩かせて自分はスケボーなんて有り得ないわよ?」
「俺は普通じゃないんですよ。送ってるんだから感謝してくださいよ。」
「神谷くんが送るって言ったんじゃない!!」
「いいから早く行きますよ。」
「あっ!ちょっと待ちなさいよ!!」

こうして蓮と御坂は騒ぎながら帰って行った。





松野と佐天は並んで歩く。微妙な距離をあけて。

(き、気まずい……)

松野だって蓮の考えは分かっていた。だが、どう話し出せばいいか分からなくなっている。

(神谷のやつ、余計なことしやがって……)

こちらをチラチラ窺う佐天の視線を感じることから佐天もなにを話せばい
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