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我が剣は愛する者の為に
真相
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め、近くの住民を殴ろうとして近づこうとした時に俺の頬を何かがかする。
薄く肌が斬れる感触と痛み、そして血が流れる感覚。
かすめた物体は黒い鉄扇だった。
鉄扇には糸が縛られており、所有者の手に引き戻っていく。
言うまでもない胡蝶だ。
彼女は軽く眉をひそめて、首を軽く横に振る。
その先には雲流が何事か、と言わんばかりの顔をしてこちらを見ていた。
人混みの雑踏のおかげでさっきの会話は聞かれていないが、ここで住民と騒ぎを起こすのは華琳にとって非常によろしくない。
怒りを抑えながら、俺は片手で少女を抱えながら馬に向かう。
住民たちは俺が近づくと急いで後ろに下がる。
まるで一瞬でも触れたくないかのように。
反応を見てまた怒りが噴き出しそうになったが寸での所で堪え、馬に乗り込む。

「司馬懿殿、どうして鉄扇を?」

「うん?
 ああ、蜂が縁の首に止まろうとしていたからね。
 何とか鉄扇で斬ったけど、誤って縁に当たったみたいだ。
 でも、街の人には当ててないから安心しろ。」

「それならいいのだが。
 縁殿、その子は?」

雲流は抱きかかえている少女の存在に気がついたらしい。

「呼吸が浅い。
 今すぐ治療の必要がある。」

「しかし、あなたには君主に会ってもらう必要がある。」

「民が死にかけているんだぞ!
 そんな事を言っている場合か!」

「君主に会って貰う方が重要です。
 早く会って貰い対策を立てねば、多くの民が苦しむのですから。」

俺の睨みに臆することなく、睨み返す。
数秒ほど睨み合って、俺は少女を胡蝶に預けて。

「胡蝶。」

「分かったわよ。
 医者は?」

冗談を言える場面でないと空気を呼んだのか、からかわずにすんなりと受け取る。

「・・・・・・・その角を右に曲がった所に診療所がある。」

部隊の代表である俺が会えばそれで問題ないと判断したのか、診療所の場所を教えて貰った。
胡蝶は馬を走らせ、診療所に向かって行った。

「では、君主に会って貰います。」

「色々とそいつに聞きたい事がたくさんある。」

軽く殺意を込めて言うが、雲流は全く気にせずに城まで案内する。
この街は俺が予想している以上に異常な街だった。
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