黄巾の章
第15話 「ねぇ、貴方……孫呉にこない?」
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たしの声を遮って、冥琳――周瑜が伝令にそう伝える。
伝令兵は、すぐさま踵を返して本陣へと走っていった。
「めーりんー。わたし行きたくなーい」
「わがままいうな、雪蓮! 我らは名目上、袁術の客将なのだ。ここで断わっては角が立つ」
「もー……めんどうだなぁ。あーあ……早く独立したい……」
「その為にも今は雌伏のときだ。我慢してもらうしかない」
わかってるけどー……
「恐らく先に触れがあった諸侯上洛のことだろう。同道するのか、ここで我々だけで包囲を続けよと言われるか……」
「うーん……今上洛しても、私達は客将扱い……着いていく旨味はあんまりなさそうねー」
「ではあるが、ここで否ともいえまい……どうなるかは相手次第。しっかり対応してきてくれないと」
「はーい……しょうがないなぁ」
わたしは、その場を冥琳に任せて本陣へと馬を走らせる。
ほどなく本陣に着き、天幕をくぐるとそこには、腰巾着の張勲がいた。
「きましたね〜孫策さん」
「お呼びにより、孫策参上したわ……それで?」
「はい〜。これから私達袁術軍は、洛陽に向けて出発することになります」
「……宛に篭城している黄巾はどうするのよ?」
「もちろん、孫策さんたちが相手するんですよぉ?」
……この女、いつか殺してやるわ。
「私達の軍だけで? 無茶言わないで。私達の兵力じゃ、包囲なんか出来ないわ。少なくとも後一万の兵は必要よ」
「名高い孫策さんでも無理ですかぁ?」
「無理ね。数は力よ。私達の兵だけじゃ蹂躙されるだけだわ。せいぜい誘き寄せて、数を減らすのが限界よ」
「あら〜……でも、噂の天の御遣いだと、六千の兵で二万の黄巾を被害なく殲滅したそうですよ? 孫策さんならできるんじゃありませんかぁ?」
天の御遣い?
……ああ。管輅とかいう、うさんくさい占い師が吹聴しているやつね。
本当にそんな奴がいるのかしら?
「そんな話は初耳ね……いたら会ってみたいわ。そんなありもしない噂は、どうやったのかってね」
「そうですかぁ……じゃあ、直接聞いてくださいねぇ」
は?
「さすがの私も孫策さんたちだけで、ここの黄巾の相手が出来ないのはわかっていますよぅ。都から董卓軍が援軍に来てくれるそうですので、その方たちと一緒にここを任せますねぇ」
……ほんとに殺したいわ。
もったいぶって話をするんじゃないわよ。
「でぇ、その董卓軍に、噂の天の御遣いがいるそうですよ? しかも男の人だそうです。是非、話を聞いてみてくださいね。あーよかった。孫策さんが快く了承してくれたので、安心して私達は都に向かえます」
………………
「どうしたんですかぁ? そんなに力こめて手を握ると、血が出ちゃいますよ? 戦う前から怪我だけは
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