黄巾の章
第15話 「ねぇ、貴方……孫呉にこない?」
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
とらん顔やな。
「しゃあないな。桃香達は後曲にしとくわ。右翼は翠、盾二と馬正は左翼、本陣はうちと朱里と雛里、それでええか?」
「ああ。ありがとう……夜にでも朱里たちには伝えておくよ。あ、そこの人。これ、輜重隊にいる雛里――鳳統に渡して」
盾二は頷きながら、竹簡を伝令兵に渡しとる。
ほんまに仕事熱心なやっちゃなー……
「んで、翠……ええかげんに戻ってこんかいっ!」
「うひゃ! ○×▼■#$%&……」
だからそれ何語や!
―― 馬超 side ――
あーびっくりした。
いかんいかん……どうも最近、あたしは浮かれているみたいだ……
盾二の傍にいるだけで、こう、顔、が……
えへ……って!
だめだ、だめだ!
いい加減、まじめにしないと、うん。
「あー……うん。そ、それで、霞」
「やっと戻ってきたんやね、翠……なんや」
う……そんなに変だった?
「宛って、そろそろだろ? 袁術に、使者を出さないでいいのか?」
「あんさんなぁ……」
あ、あれ?
なんでがっくりきてるの?
あたしが、霞の様子にうろたえて盾二を見ると、盾二も苦笑していた。
「もう昨日のうちに使者は出しているよ。それで先程、その使者が帰ってきたところ」
「盾二がさっき読んどった竹簡があったやろが! あれは到着してからの人員と糧食の再編計画書や!」
えっ!?
「ほんまに桃香といい、あんさんといい……この軍、大丈夫かいな?」
「うう……ごめん」
どうやらあたしがボーっとしている間に、全部のやり取りは終わっていたみたいだ。
あたしも桃香も副官なのに……なにやってるんだ、あたしらは。
「盾二ぃ……あんさん、副官になってくれへん?」
「ま、まあ、もう似たような状況だけどさ……名目上はそのまんまで、ひとつ」
「あんさんが名実ともに副官なら、ウチは何の心配もないんやがなあ……」
うう……言い返したいけど……言い返せない。
「だ、大丈夫だよ。翠は戦となれば立派に働いてくれるさ。細々したことは俺がやっとくから、翠は軍のまとめを頑張ればいいんだよ」
「うう……盾二……その優しさが、今は堪えるよ……」
あたしは、だーと涙を流しながらそう言うと、ポリポリと頭を掻き出す盾二。
「盾二も盾二やで? あんまり何でもやったら人が育たんやろが。ちゃんと躾なあかんよ」
「あー……うん。すまん」
「躾って……あたしは子供か?」
子供……盾二のこど、も……
……
…………
………………はっ!
あ、あぶない。
また変な妄想になるところだった。
「どうも俺は、女性に甘いところがあるな……
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ