第五話
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じゃないか?」
「決着……」
「僕はこの先で待ってるよ。じゃ、期待してるからね?」
その後、何かが途切れるような音がして、クルトの声は聞こえなくなってしまった。
「……」
「俊司さん……」
気がつくと、俊司の背後に心配していると言わんばかりに不安そうな顔をしながら、妖夢が立っていた。
「妖夢……」
「私は……この先にいけないんですね」
「……ああ」
返事を返すと、妖夢の顔はさらに暗くなっていった。
「また……私は何も……」
「何もできないわけじゃないよ……ここまで一緒に来てくれただろ?」
「でも……肝心な時に限って私は……」
「……」
紅魔館での出来事以来、妖夢はここぞという時に俊司を助けることができないことを悔んでいた。いくら仕方のないことだとはいえ、自分の力不足が招いたことでもある。妖夢はそんな自分を責めていた。
今回も、また俊司を助けることができない自分がいる。妖夢は悔しさと悲しさで心が埋め尽くされそうになっていた。
そんな彼女を見て、俊司は軽く溜息をつくと優しい目をしながら彼女を見つめた。
「……心配すんな」
「え……あ……」
俊司は何もいわずに妖夢の頭をポンポンと叩いた。
「何も責めることはないよ……ここにいてくれるだけでいい」
「俊司さん……」
「ここから先は……俺の私情でもあるんだ。どのみち……一人で行かせてほしいと言うつもりだった」
「……」
「ここで……待っててくれるか? 妖夢……」
そう言って、俊司はもう一度妖夢の頭をポンポンと叩いた。
それに反応してか、妖夢は顔を赤くしながらうっすらと涙を浮かべていた。ここにいるだけでいい。そんな些細な言葉が、何もできないと思っていた彼女に優しく響き渡っていた。
「……待ってます……ここで……」
「……ありがとう」
「……必ず……帰ってきてください」
「……善処するよ」
「そこは……嘘でも戻ってくると言って下さいよ」
そう言って、妖夢は少し笑った。
「じゃあ……行ってくる」
「はい……」
俊司は、見送ってくれる少女に軽く笑みを返すと、そのままゆっくりと階段を上って行った。
最上階
「遅かったね?」
「……」
広場の中央で、男は上がってきた少年にそう言った。
「殺気立ってるねぇ? まあ、そうあせらずあせらず」
「うるさい……」
少年は男を睨みつけながら、二丁のハンドガンを手に取った。
「やる気満々ってか? なら……はじめるか?」
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