第百十一話 反則じみた不動ぶりだよな
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
らす。
「うはは! これは驚いたわ! 何ちゅう魔力出しよるんや!」
バンリドも笑ってはいるが、頬が引き攣(つ)っている。
「行くぞボサボサ頭!」
闘悟がその場から動くと、舞台が破壊される。
動くだけでかなりの衝撃波を生んでいるようだ。
これまで感じたことが無かった魔力で攻撃される。
バンリドは、自分の『不動魔法』に絶対の自信を持っているが、未知で、予想できない破壊力を込めた攻撃だけは正直焦りを生んでしまう。
無意識に全身に力を入れて踏ん張ってしまう。
闘悟は右拳に魔力を集中させてそのまま突っ込む。
ドゴオゥッ!!!
そんな音が周囲に響く。
それは拳による風切音と衝撃音だった。
誰もが息を飲み結果を待つ。
これほどの魔力を込めて攻撃されたら、さすがの『不動魔法』も破られるのではないかと感じている。
しかし、目の前に写った光景は信じられないものだった。
そこには拳を突き出した闘悟と、一歩も動かず立ち尽くしているバンリドがいた。
「くっ!」
闘悟は歯を食いしばり、全身に力を込める。
「まだまだぁっ!!!」
そこからは闘悟の連撃が始まる。
サンドバックを殴るように、いろんな角度で攻撃を加えていく。
闘悟を中心にして突風が観客席にまで届いてくる。
帽子を飛ばされるほどなので、かなりの強風を生んでいる。
何度も何度も殴打するが、残念なことにバンリドはピクリとも動かない。
そして、闘悟は攻撃を止め風も収まる。
「ふぅ」
闘悟は一息ついてバンリドから距離を取る。
「さ、さすがの私も実況の口が挟めませんでした! 通常では考えられないほどの魔力を解放したトーゴ選手もさることながら、その攻撃を完全に防いだバンリド選手。一体どっちが勝つのでしょうか!」
モアはついつい見入ってしまって実況を忘れていたのを反省した。
「今の魔力……」
「フレンシア様?」
「今の魔力ですが、達人級が百人集まっても届かないでしょう。破壊力も恐らくは山くらいなら吹き飛ぶほどかもしれません」
「なっ!?」
「ですが、それでも『不動魔法』は崩せなかった」
フレンシアは真剣な表情で続ける。
「あれほどの攻撃を受けたのも彼は初めてでしょう」
「そ、そうですね。バンリド選手も驚いたというか焦ったと思います」
「最強とも思われる攻撃でも破れなかった。まさに絶対防御です……」
フレンシアの言葉を聞いて、ほとんどの者は結果を見出してしまっていた。
この勝負はバンリドの勝利だと。
だがその中でフレンシアは気づいていた。
確かに今の攻撃は、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ