第百十一話 反則じみた不動ぶりだよな
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いる。
闘悟はその穴の中に膝をついている。
だが変だ。
何が変だって?
何故ならそこにいるのが闘悟だけだからだ。
もし闘悟の思惑通りなら、その穴の中にいるのは闘悟とバンリドの二人になっているはずだった。
「そっか! 即座に跳んで逃げたのか!」
足元が崩れる瞬間、穴に落ちるのを防ぐために、後ろなり横なり跳んで避けたのだと思った。
だがそれでも動いたことには変わらないので、闘悟の勝利となる。
闘悟はそのままの格好で、上を見上げてバンリドを探そうとした…………が、探すまでも無かった。
何故ならバンリドは…………
………………………………真上に存在していたからだ。
「え……はあ?」
呆けた声を出して、真上にいる、いや、真上に浮かんでいるバンリドを見つめる。
観客達も、目を限界まで開き驚愕の表情をしている。
それも無理は無かった。
バンリドは間違いなく、空に浮かんでいるのだから。
「うむ、なかなかの方法じゃが、今までその方法を試した奴がおらんかったと思うかのう?」
「……」
「不動は……伊達じゃないということじゃ」
そう言うと、彼は静かに降りてくる。
これは自らの意志で動いているので問題は無い。
闘悟は立ち上がり、降りてくる彼を黙って見つめている。
穴の中に着地すると、顎を触りながら話し出す。
「あくまでもじゃ、俺が使用した場所から不動を維持するのが『不動魔法』じゃよ?」
「……なるほどな」
「その程度で破られるほど、浅いもんじゃあないのう?」
使用した場所から不動を維持することが事象として決まっている。
それが『不動魔法』。
ということは、仮にこの場所全てを吹き飛ばし、無に変えたところで、『不動魔法』を解かない限りは、その場に存在してるというわけだ。
「やっぱ、すげえなアンタ」
「ん〜褒められんのはくすぐったいのう。しかしどうするんじゃ? もう諦めるのかのう?」
「んなわけねえだろ! まだまだこれからだ!」
そう言うと闘悟は更に魔力を解放する。
「一パーセント……三パーセント……五パーセント!」
無論闘悟の魔力を感じている者達全員が開いた口が塞がらないでいる。
その理由は闘悟の異常なまでの魔力量だ。
これまで何度か闘悟が魔力を解放するところを見て、只者ではないと判断してきた者達も、まさか闘悟がこれほどの魔力を有していたとは思っていない。
「こ……これは……何という……」
モアでさえ、呟き声になるほどの驚愕ぶりだ。
「これが異世界人の魔力……」
フレンシアも誰にも聞こえないほどの小声で言葉を漏
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