第百十一話 反則じみた不動ぶりだよな
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が負けると思ってる?」
口を尖らせながら言う母親を見て、少し溜め息を吐き首を横に振る。
「いいえ、私も信じていますよ。トーゴさんが勝つと」
その言葉を受けて嬉しそうに笑みを作るニア。
「そうこなくちゃ〜!」
「ですが、トーゴさんはどうやって勝つつもりなのでしょうか?」
「あ、リーちゃんもやっぱ気になる?」
「ええ」
「きっと……」
そう言葉を出したのはクィルだ。
皆が彼女に視線を向ける。
「きっと、私達が想像もつかない方法なのです」
彼女の言葉に皆が一斉に頷く。
どうやら彼女達は闘悟のことを理解し始めているのかもしれない。
いつも想像以上のことをやってのける闘悟を、もう誰も疑っていなかった。
もちろんクィルから心配は消えやしないが、闘悟の勝利と無事を誰よりも望んでいた。
「トーゴ様……頑張って下さいです」
両手を合わし、祈るような恰好をする。
(……それはそうと、ステリア様……お花を摘みに行かれて長いです……)
トイレに行くと言って、いつまでも帰って来ない彼女のことを心配するが、まさか闘悟と一緒に参加していたとは露(つゆ)にも思っていなかった。
「それでは両者が準備できたようなので、始めて下さい!」
モアの開始の声に、バンリドはすぐさま『不動(ふどう)魔法』を自身にかける。
「さて、やるか」
闘悟は首を回して気合を入れる。
まずはさっきのおさらい。
闘悟は魔力を少しだけ解放する。
そして勢いをつけてそのままバンリドに拳を突きつける。
結果は、やはりバンリドは不動のままだった。
「それくらいじゃ、無理じゃのう」
「分かってるよ、でもせっかくだしいろいろ試してみてえんだ!」
拳に力を込める。
「無駄じゃって」
バンリドは釘を刺すように言うが、闘悟はそんなバンリドの顔を見てニヤッとする。
「ん?」
「だったらこれでどうだぁっ!」
何を思ったか、闘悟は自らの拳をバンリドの足元に向ける。
かなりの衝撃音とともに足元の舞台が粉砕する。
バンリドを支えていたと思われる地面が砕けて消える。
闘悟はこれで勝負がついたのではないかと思った。
何故なら、バンリドがその場から一歩でも動けば闘悟の勝ちになる。
地面を破壊すれば、彼を支えるものが無くなり、必ず動いてしまう。
自ら動くのは条件の中で許されているが、こうして闘悟の攻撃によって生まれた状況で動けば闘悟の勝ちになる。
破壊された舞台の破片が周囲に飛び散る。
舞台の真ん中にポッコリ穴が開いたようになって
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