第百十話 面白そうな賭けじゃねえか
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するとフレンシアは途端に解説者としての顔を見せる。
「そうですね、正直に言えば、誰がどう見てもトーゴくんの不利でしょうね」
「その理由は?」
「事象が決定している魔法とは、言わば時の流れと同じです」
「はあ」
「絶対、当然、必然。覆すことのできないことです。そんな魔法を破ることなど到底できません」
「な、なるほど」
「例えば、高温度の炎に触れれば熱い。物を落とせば地面に落ちる。目を閉じれば何も見えない。私達は今……生きている。どれも確定された事実です」
「それと同じくバンリド選手の『不動魔法』は防御に関しては絶対無敵。そういうことですね?」
「その通りです」
「ではトーゴ選手には勝ち目は無いのでは?」
モアの言葉に誰もが頷く。
観客の中には条件の厳しさにバンリドに文句を言う者もいる。
だがその中で、静かにフレンシアは語る。
「そうとは限りません」
「ど、どうしてですか?」
モアだけでなくほとんどの者がフレンシアに注目する。
どう考えても無理だと断(だん)ずるに値する条件だと皆が思っている。
それなのに、そんな状況を打破(だは)できる方法があるとでも言うのかと、皆が訝(いぶか)しんでも仕方が無い。
「彼は……トーゴくんはこれまで皆が驚くようなことを平然とやってのけてきました」
「た、確かにそうですが……」
「今回も、トーゴくんなら何とかしそうな予感がします」
「そ、それは……ですが……」
モアの疑問も最もだ。
今までは無茶と思えることを闘悟は確かに乗り越えてきた。
だが今回は無理、または不可能なことを乗り越えようとしているのだ。
幾らフレンシアの言葉でも信じられないのも無理は無い。
「まあ、私達はただ見ていましょう。二十分後、舞台の上にいる勝利者を待って」
フレンシアは静かな微笑をモアに向ける。
彼女もそれに応えるように頷くしかできなかった。
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