第百九話 厄介な魔法だなそりゃ
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を待つ。
「とんでもなく腹が減りよる」
ズコッとこけた者達がたくさんいた。
闘悟も拍子抜けしたように顔が緩む。
「お、でも腹が減りよるんは後からじゃし、試合中は安心せえよ」
にこやかな表情で言うが、何に安心したらいいのか全然分からない。
まあ、腹が減るということは、それなりに魔力を消費するということだろう。
バンリドの掴み切れない性格は置いておいてもだ、確かにその魔法は強力と言わざるを得ない。
制限はあるが、それを補って余りある優位点(ゆういてん)がある。
「『緑の不動』だっけか……ホントにその通りなんだな」
「んまあ、俺が名乗っとるわけでもないんじゃがのう」
基本的には魔法学園の生徒の二つ名は、本人ではなく、その周りの生徒が尊敬や畏怖(いふ)などを込めて名付けたものがほとんどなのだ。
闘悟はもう一度彼を観察してみる。
そして、ふと思いついたことがあった。
「そういやその魔法、確かに防御に関しては最強だけど、それだけじゃ試合は終わらねえぞ?」
そう、彼の魔法はあくまでも自らを守るものであり、相手を倒すものではない。
「倒されねえけど、そのままじゃ相手を倒すこともできねえんじゃねえのか?」
不動ということはそういうことだ。
この大会は我慢比べでも何でもない。
相手を倒した方が勝利する勝ち抜き戦なのだ。
バンリドが動かない限り、試合が終わらないといっても過言ではない。
「その通りじゃのう。確かにこの魔法は防御専門じゃ」
「アンタからは攻撃してこねえのか?」
「……ん?」
「みんなも派手なやり取りとか期待してんじゃねえかな?」
闘悟は観客達の方に視線を促しながら言う。
だがそれを見たバンリドは、何かに気づいたように頷く。
それでも、その何かを追求せずに、闘悟の言葉を素直に聞いている。
「なるほどのう」
「攻撃が全くできないってわけじゃねえんだろ? そうじゃなけりゃ、一次予選を突破できねえしな」「まあのう」
「だったら観客の期待に応えるとしますか?」
すると闘悟の要求を聞いて、またも無邪気に笑い二度頷く。
「うんうん〜その挑発には乗りゃせんで?」
「……バレた?」
「あそこの猪突猛進(ちょとつもうしん)男じゃったら上手く乗せられておったじゃろうけどのう」
そう言って疲労感で座り込んでいるウースイを指差す。
馬鹿にされたことに気づいた彼はムキになって何かを叫んではいるが、二人は無視している。
「どうやらアンタはホウキ頭と違ってクールなんだな」
「俺は俺じゃあ」
挑発に乗ってきて攻撃をしてくれれば、その隙をつい
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