第百九話 厄介な魔法だなそりゃ
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「は? いけんのか?」
「い、いや、いけなくはないけど……」
この飄々(ひょうひょう)とした暢気(のんき)な態度が、とてもではないがこの場には相応しくない。
だから皆が呆気にとられるのも仕方が無い。
「まあ、本人から話が聞けるなら聞こうじゃねえか。ここにいるみんなも聞きたいだろうしな」
闘悟の言葉通り、本人が話してくれるというなら、必死に頭を使って謎解きをする労力を使う必要が無い。
「うむ、じゃったら教えてやるのう。これは俺の個人魔法じゃよ」
「個人魔法……?」
「そうじゃ」
個人魔法というと、特殊魔法のことだ。
誰もが使用できる属性魔法と補助魔法とは違い、特殊魔法はその名の通り、特殊な才能を持った者しか使用できない。
クィルの『眠りの魔法』然り、闘悟の『改変魔法』然りだ。
「名を『不動(ふどう)魔法』と呼んどる」
「不動……どんな魔法だ?」
素直に教えてくれるのかと思ったが、彼はあっさりと口を開く。
「その名の通り、一度使うと、解くまで不動を保つ魔法じゃ」
「つまり、どんな攻撃をしようが、今の態勢を維持させ続ける魔法ってことか?」
「その通りじゃのう」
サラッとバンリドは話しているが、その魔法のとんでもなさは異質的だった。
どんなことが起こっても、必ず不動を保つ魔法。
それはつまり、究極の防御魔法ということだ。
「絶対防御……ってことか……すげえな」
「んまあ、この魔法にも制限はありよるけどのう」
「それはさすがに教えてはくれねえだろ?」
「まず一つはのう」
「それも教えるのかよ!」
お人好しというレベルではもう考えられない。
ただ何も考えていないだけのように感じてしまう。
「そうは言うけどのう、教えても問題無いから教えるだけじゃぞ?」
……なるほど、その魔法に絶対の自信があるってわけだ。
「そんじゃ、その絶対防御の欠点を教えてもらおうかな?」
「うむ、一つは使用しとる間は攻撃できんということじゃ」
……それって結構な欠点なんじゃ……ねえの?
闘悟は首を傾げながら続きを聞く。
「一つはもちろん不動じゃから、身動きとれん」
そ、それも難儀(なんぎ)な欠点だよな……。
せめて攻撃できないまでも、自ら動くことができたら、戦術も広がるというものだ。
だがそれができないらしい。
「一つは自分にしかかけられん」
なるほど、他人にはかけられないということだ。
確かに複数に効果があるなら、それはもう反則を通り越しているような気がする。
「最後じゃが…………」
誰もがその言葉の続き
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