第三話「散歩とゴブリン」
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奇声を上げて飛び出すと、茂みの奥からもう四匹、新たなゴブリンたちが出現した。
『ギーッ!』
彼らは横一列に並ぶと棍棒を手にこちらを睨みつけてくる。
「な、なんだやんのか? 売られた喧嘩は買うぞ? 買っちゃうぞ?」
ゴブリンは人間を襲う。いつでも撃退できるようにエスカリボルグを構えた。
「ギギ!」
「ギャ?」
「ギィー!」
彼らは頷き合うと俊敏な動作で縦一列に並んだ。なんだ、順番に攻撃してくるのか?
エスカリボルグを下段に構えて腰を落とす。すぐにでも動けるようにしないと。
そして、ゴブリンたちは渦を巻くようにグルグルと回りだした。
「チューチュートレイン!?」
まさかのダンスだった。
† † †
「うぉおおおおお! すっげぇぇぇ!」
「ギギー!」
完璧なリズムでチューチュートレインを披露した後、彼らは各々でダンスを踊り始めた。
音楽もないのに妙な一体感。今、彼らは一つのダンス集団として輝いていた。
とあるゴブリンはリズムに合わせて体を動かし、激しいダンスを踊り。
とあるゴブリンはエアトリックという回転倒立のような技を華麗にキメ。
とあるゴブリンは頭を地面につけてドリルのように回る。
なんとも見事なブレイクダンスだ。
俺も観客の心境で地面に座り込み拍手する。
もはや完璧に和んでいた。
「お前らすげぇなー! いつも練習してるのか?」
「ギャギャ!」
こくりと頷き肯定するゴブリン。
「人間とか襲わないのか?」
「ギッ」
コクリ。
どうやら人間を襲うより踊るほうが好きなようだ。なんとも変わり者のゴブリンだ。
俺も社交界で踊るワルツのようなダンスを習っているが、あまり得意な方ではない。音感がないのかリズムを取るのが思ったより苦手なのだ。
生前もダンスなんてしたことがないから、ブレイクダンスなんて観賞専門だ。
「お前らって面白いゴブリンだな〜」
「ギャピィ〜」
それほどでも〜、っと頭をかくゴブリンたち。なんだか憎めない奴らだ。
「……様〜! ……ヴィス様〜! どちらにいらっしいますかー!」
遠くから俺を呼ぶ声が聞こえてきた。どうやらもう時間らしい。
「そろそろ帰るか。お前らも見つからないように帰れよー」
「ギャギャ!」
大
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