間幕:Ir de tapas (軽食屋巡り)
13 ?? ?????? ??? / 13日のカレー曜日)
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えるものをと思ったんだが、まだ辛かったか」
そう呟くと、彼女は真っ赤な粉末を自分用のカレーに振り入れてかき回し、ご飯の上に流し入れた。
「うん。 美味い。 こんな美味いものが喰えないなんて、なんて不幸なんだ」
「……その通り!」
一人納得するキシリアに、力強く同意する声があった。
クリストハルトではない。
……その声の主はカリーナ。
「あぁぁ……この味、マジでカレーだよ!! 500年ぶりだよ! ンメぇぇぇぇたまらん! おかわりぃっ!!」
そこにいたのは、カリーナの姿をした別の誰かだった。
「ちょっと、調子こいてんじゃないわよ! あ、アタシにもおかわり!!」
続いて飛び出した女言葉の主は――クリストハルト!?
「まて、そのチキンカリーは俺様のものだ!」
「すっこんでなさい、そこの中国人!! 横浜の中華街育ちで中華漬けのアンタが日本の魂であるカレーを語るなんて100年早いのよ!!」
「なんだと? 血筋は中国人でも、俺は立派な日本育ちだ!! しかもカレーは我が神奈川こそ本場! 横浜の海軍カレーを知らんのか!? それに貴様だって実家は京都の和食料理屋だっただろ! 和食漬けのお前にカレーを愛でる資格などないわっ!! おとなしく酸っぱくて薄い味の味噌汁でも飲んでろ!」
「なんですってぇっ!? 日本書紀に、日本人は和食とラーメンとカレーを同時に愛することが許されているって書かれていることを知らないの!?」
「知るか、ボケぇっ!! つべこべ言わずにそのチキンカリーをよこせ!!」
「誰がよこすか! これは私のものよ!! そっちのビーフカレーもねっ!!」
どうやら、この二人はクリストハルトとカリーナの先祖の……おそらく残留思念のようなものだろう。
そういえば、500年前に剣姫などという恥ずかしい名前で呼ばれた女戦士の勇者と、炎王という痛い名で呼ばれた男魔術師の勇者が魔界を散々荒らしたという記録があった気がする。
今までの経験から、周りの様子を見てから食べようとしたマルとテリアはしっかりと生き残っており、テーブルの下でコソコソと密談を交していた。
おそらくこの展開なら、次は……
二人は同じ結論に達すると、そそくさとその場を逃げ出した。
「ゴルァ、そこのガキ共! 俺の食堂で暴れるたぁ、いい度胸だな、おい」
その瞬間、窓の外に稲妻が落ち、食堂を大きく振るわせた。
その衝撃で、ランプの明かりが全て吹き消されてしまう。
「だ、誰だか知らないがこの炎王に口を挟むなど……ヒッ!?」
「な、何、この威圧感……まさか、魔王なの!?」
カリーナの男口調はともかく、クリストハルトの女言葉はなかなかに破壊力がでかい。
耳にゴゴゴと効果音が聞こえそうなほどの気迫を纏い、争う二人の間に割って入った
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