間幕:Ir de tapas (軽食屋巡り)
13 ?? ?????? ??? / 13日のカレー曜日)
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微かなる者《スプライト》でも、キシリアの統べるこの屋敷の中に勝手に入ることは出来ないはずだ。
なら、いったい誰が!?
あぁぁぁ……喰いたい! 喰いたいぃぃぃぃぃ……
やはり獣のようにひび割れた男の声が確かに聞こえる。
だが、その音源はあまりにも近い
――まさか、これは自分の頭の中から響く声!?
その恐るべき事実に行き当たった瞬間、声はピタリと静まった。
「おい、何してるんだ? はやくこないとあのドSが何するかわかんねぇぞ」
「あ……ゴメン。 なんでもない」
なかなか出てこないカリーナに業を煮やしたのだろう。
奥のほうからクリストハルトがわざわざ様子を見に来たようだ。
「そっか。 なら、急げよ」
「ねぇ、ハルト」
「……なんだ?」
「その格好、似合ってるよ。 なんか、かわいい」
カリーナが猫獣人の仮装ならば、クリストハルトは虎獣人のギャルソンのような格好にさせられていた。
白いシャツと黒いパンツ、そして黒のソムリエエプロンという姿なのだが、元のスタイルが良いためになかなか様になっている。
カリーナも密かにお気に入りだ。
しかし、なぜ虎の耳と尻尾が付けられたかと言うと……特定条件化でのみ社交的なクリストハルトが、個人的に仲良くなった虎人たちよりリクエストを受けた結果である。
ちなみにそれに嫉妬した人獅子からも人獅子バージョンの要請があったことは言うまでもない。
「やかましいっ!! 好きでやってるわけじゃねぇよっ!!」
「ふふふ……照れてる。 ちなみに私はちょっと楽しいかも」
背伸びをするようにして、背の高いクリストハルトの腕を取り、店の表に出ようとしたときだった。
「ギニャアアァァァァァァァァァァっ!!」
まさに断末魔としか表現でない、すさまじいオス猫の悲鳴。
「……ポメ?」
この微妙な声の掠れ具合は間違いない。
――またキシリアにお仕置きされたのか?
最初は誰もがそう思ったが、表で弁当を売る準備をしていたキシリアにいつものドSスマイルは浮かんでいない。
「カリンカは店に出てくれ。 俺は様子を見てくる」
そういい残すと、クリストハルトは奥の部屋へと戻っていった。
カリーナもしばし躊躇したが、結局は奥のことはクリストハルトに任せるという決断を下し、キシリアの手伝いをするために表のほうに駆け出してゆく。
そして30分後……
現場に戻ったカリーナが見たものは、口から泡と茶色い液体を吐き出しながらピクリとも動かない、変わり果てたポメの姿だった。
*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*
弁当を売り切った後、カリーナが店の奥に戻
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