間幕:Ir de tapas (軽食屋巡り)
13 ?? ?????? ??? / 13日のカレー曜日)
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今朝から厨房に漂うなんとも魅惑的な香り……これはいった何だろう?
カリーナは、その香りの源である寸胴鍋を見つめ、首をかしげた。
勇者として訪れた各国の宮廷料理でも、ここまでおいしそうな香りのするものは記憶に無い。
もしも出会ったことがあるならば、こんな特徴的な香りを忘れるはずが無かった。
おそらく複数の香りの高い材料を混ぜ合わせているのだろう……
あまりにも複雑すぎてこれが何を材料にしているのかは不明だったが、使われている材料の一つはおそらく牛肉……もとい、ここ魔界ではボコナンという牛に良く似た魔獣の肉が流通しているから、その魔獣の肉だろう。
ちょっぴり味見をさせてもらえないだろうか?
銀色に輝く鍋を見つめてカリーナはふとそんな事を考えた。
お菓子作りにも興味はあるが、やはり食べるものは何でも興味深い。
それに、キシリアの作るものは人間界の王宮料理ですら賄い以下に思えるほど美味しくて洗練されている。
――まるで別の世界から来た人のようだ。
時々、人間界では"転生者"と呼ばれる存在が生まれる事があり、その人たちは常にはありえない力を持ち、本来知るはずも無い知識を語ることが出来るという。
ちなみにカリーナやクリストハルトは、そんな転生者の直系の子孫にあたり、先祖帰りをしたために人間界の"転生教会"に強制的に捕縛された経験がある。
もしかしたら、キシリアもそんな転生者の直系だろうか?
もしくは、転生者そのもの……
いや、考えても意味が無い。
キシリアはキシリアだ。
それにしても、今回の料理は格別においしそうな匂いがする。
何か……こう……喉の奥から、いや魂の奥から渇望するような……
カリーナは口からあふれ出しそうになってる涎に気づき、あわててそれを飲み込んだ。
「おーい、カリンカ! そろそろ店をあけるらしいぞ!! はやく猫耳カチューシャつけて表に行け!!」
「うん。 今行く。 ちょっとだけ待って!」
カリーナは、猫獣人にカモフラージュするための猫耳カチューシャ(キシリア謹製)と、猫尻尾(同じくキシリア謹製)を身につけると、小豆色の分厚いロングスカートを翻してその場を去ろうとした。
ちなみに近場で見れば判る程度のこの仮装は、客を刺激しないための用心だ。
別に隠してもいないので、カリーナたちが人間であることは、すでに客たちも知っている。
その時だった。
――レェェェ カ……ェェェェェ カ……をよこせぇぇぇぇ
何!? この声!!
カアァァァァァァ レェェェェェェェェェェェェ
いったいこの声はどこから?
見回すが、声の主は見つからない。
まさかスプライト?
いや、いくら姿隠しの理力を持つ|
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