間幕:Ir de tapas (軽食屋巡り)
13 ?? ?????? ??? / 13日のカレー曜日)
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ま大きく伸びをすると、クリストハルトは毛布をひっかぶって意識の無いカリーナを抱き寄せる。
あぁ、やっぱりこいつが一番だ。
俺の最愛の抱き枕。
どんな美女でも及ばない。
こいつの隣で眠る夜が一番心安らぐ。
――だが、そこでふと気づく。
「なんだ? この匂い」
彼の鋭敏な嗅覚は、ドアの入り口から流れてくる馴染みの無い刺激臭を捉えていた。
そして、耳を澄ませば下の厨房の辺りからザリザリと何か砂利を擦るような音がする。
「う……ァ……」
続いてフェリクシアが半濁した意識のまま薄目を開けて……
「こ、この臭いは!? ひ、ひいぃぃぃぃぃっ!!」
「どうした!? フェリクシア!!」
突然ベッドから飛び上がったフェリクシアに、クリストハルトが緊迫した声でたずねる。
――体力はほとんど使い果たしたはずなのに。
その残り僅かな体力を消耗してでも飛び起きなければならない事態が起きているというのか!?
クリストハルトの体が緊張で強張る。
「"カ"の日だ。 "カ"の日が来てしまったんだ! に、逃げないと! できるだけ遠くに逃げないと!!」
「待て! フェリクシア!!」
クリストハルトが留める間も無く、フェリクシアは弱った体に鞭を打ち、窓の外に体を躍らせた。
――あぁぁぁぁぁ
だが、クリストハルトとの戦いにより、体力を極端に消耗していた彼女に空を翔るだけの力が残されているはずもなく、悲痛な叫び声と共にフェリクシアの体は窓の下に消えていった。
「フェリクシア!!」
慌てて駆け寄ったクリストハルトの見た光景は……
グライダーのように滑空しながら裏庭にフラフラと落ちてゆくフェリクシアの姿だった。
「……あ」
その行く先には、大きな樫の木が一本。
ゴチン!
硬い樹木にしたたかに頭をぶつけたフェリクシアは、そのまま崩れるように地面に墜落していった。
「……あれは痛ぇわ」
敷物になった動物のような状態で突っ伏しているフェリクシアを見下ろし、クリストハルトは興味を失ったようにボソリと呟いた。
「とりあえずほっといていいか。 野生動物だから野外で寝ても風邪ひかんだろうし」
正しくは魔獣である。
いずれにせよ風邪は引きそうにないが。
それにしても、いったい何をあんなに脅えていたというのだろうか?
――何事も起きるはずはないのに。
魔王でもこない限り、キシリアの理力によって守られたこの屋敷の中で無体を働くことは出来ないのだから。
俺だ起きたときにまだあのままだったら、朝食前に起こしてやるか。
心の中でため息をつきながら、クリストハルトは窓を閉じた。
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