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とあるIFの過去話
三話
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うすりゃ勝手に潰れンだろ」
「それは困る。だが、これは君にとってもいい話のはずなのだがな」
「は?何言ってやがる。一体いつ俺が―――」
「誰も傷つけたくない。その為に力を欲していたのではなかったか?」

その言葉に一瞬、一方通行の言葉が止まる

「君の経歴を見せてもらったよ。能力の暴走による事故。そしてその後の研究への自主的ともいえる参加。事故で周囲の人間を傷つけてしまったことから、能力を身につけて制御しようと思ったのだろう」
「だが皮肉なことに、そのために君はレベル5第一位と認定されてしまう。そのため、その地位を、最強という名声を狙った者たちに日夜襲われその者たちを傷つけ、望んだ平穏など手に入らないのではないか?」
「………それがどうした」

胸元を掴まれ、一方通行が少しでも気を変えれば次の瞬間には死体になるだろうことを理解しながらも、男の言葉は止まらない

「それは君がそこで止まっているからではないか?レベル5<最強>ではなく、レベル6<無敵>にでもなれば、挑もうと考える者たちはいなくなるのではないかね?」
「………だから実験に参加しろってか。馬鹿言ってンじゃねェぞ。その為に人殺したら意味ねェだろが」
「あれは単価十八万の量産品でしかなく、明確な人ではない。そんな劣化品を処理するだけでこの先の平穏が手に入り、その数以上の人間を傷つけずに済むのだぞ。それに、人ならば君はもうとっくの昔に殺しているではないか」

我儘を言う子供をたしなめるようなその言葉に、今までにはいなかった、こちらの内面を抉るような言葉に一方通行は動揺し、男の胸ぐらを掴む力が緩む

「何、言ってやがる」
「君の能力が暴走した際、どれだけの被害が出たか知らなかったかい?」

男の右腕が上がり、掴まれていた書類が一方通行の目の前に出される。どうやらその書類は一方通行の事に関しての物のようであり、一番上の書類に事故の事が乗っており、あの事故の被害の事について記載されている
自然、そこに書いてあることを目が追ってしまう


物的被害   詳細は別紙に記載
・周辺の建築物の損壊――大型ビル二棟・能力研究施設一棟
・荒らされた周辺地域――地面の陥没・隆起等
・破壊された備品・機材―――――――――
…………総計被害総額、約**億円    

「ああ、被害額は気にしなくていい。今までの実験への協力で、すでに大半が補われてる」

そんな声など耳に入らず、視線は次に進む

人的被害   詳細は別紙に記載  
・負傷者   一般学生――十八名。風紀委員<ジャッジメント>――十二名。警備員<アンチスキル>――三十三名
・被害内訳  軽傷者――四十八名。重傷者――十三名。

そして、それを見てしまう

死者――二名    

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