第二十七話 江田島その十三
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「そうするか」
「それからね」
「ああ、それからな」
まずは今目の前にあるものを食べ終えてから考えるというのだ。言いながら日本酒をまた一杯飲んだ。そして自分ですぐにまた入れる。
そこにホテルの人が来て言って来た。
「お酒いるかい?」
「はい、お願いします」
美優は右手を垂直に挙げて応えた。
「もう一本」
「一升瓶でだね」
「それでお願いします」
まさにそれでだというのだ。
「それも五本」
「五本かい?」
「五人いますから」
それでだというのだ。
「五本お願いします」
「わかったよ、じゃあね」
こうしてだった、その一升瓶が五本美優の前にどん、と置かれた。
琴乃がその一升瓶達を見て美優にこう言った。
「多過ぎない?」
「多いか」
「うん、三本位でよかったんじゃ」
早速一本空けながら言う。
「流石に五本はね」
「じゃあどうしようか」
「一人辺り一升だけれど」
「多いよな」
「かなりね」
「あたしも今思ったよ」
頼んでそれが来てからだというのだ、美優は牡蠣を食べながら言った。
「どうしたものだろうな」
「とりあえず飲んでね」
景子が自分の解決案を話す。
「そうしてね」
「ああ、それで余ったらな」
「余った分飲んで回ってる子も多いから」
見れば場で適当に余っている酒瓶を持って行っている子もいる。最早そうした意味でも無礼講になってしまっている。
「だからね」
「気にすることないか」
「そう、余ったら置いてね」
それでだというのだ。
「飲めるだけ飲もう」
「牡蠣と一緒にな」
「牡蠣まだ結構あるし」
もう何十も食べているがまだあった。
「百個以上はやっぱり凄いわ」
「だよな、じゃあ今はな」
「ええ、食べて飲んでね」
余るのを気にせずにだというのだ。
「そうしていきましょう」
「それがいいか」
「そういうことでね」
こう話してだった、五人で酒が余っても構わないということにしてそうしてだった。
牡蠣を食べ酒を飲む、気付けば。
一升瓶は全部空になってた、まさに一人一本ずつだった。
里香は真っ赤になったその顔で他の四人に言った、今にも倒れそうな感じだ。
「飲んだわね」
「ああ、だよな」
「全部ね」
四人もこう返す。
「飲めるかって思ったけれど」
「やったわね」
「ええ、全部飲んだし」
それにだった、里香はそれぞれの卓も見た。
「全部食べたわね」
「完全にね。入ったわね」
「我ながら凄いな」
美優も真っ赤な顔で自分達に感心している。
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