第二十六話
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第二十六話 美樹と梨花も
美樹はあえて梨花のクラスに行きそのうえで自分の席に座っている彼女の前に来てこう尋ねたのだった。
「あんた今度うちの塾に来る娘知ってる?」
「いえ、残念だけれどね」
梨花も困った顔で美樹に返す。
「私も知らないのよ」
「そうなのね」
「わかっているのは性別だけよ」
本当にそれだけだというのだ。
「私達と同じ女の子っていうことだけよ」
「わかっているのはそれだけね」
「そう、それだけよ」
本当にそれだけだというのだ。
「後は同じ学年ってことだけれど」
「五年生なのね」
「その他にはね」
それがだというのだ。
「わかってないから」
「つまり殆ど何もわかってないのね」
「そうよ。美樹ちゃんもこれ位は知ってたわよね」
「ええ、その二つ位はね」
美樹もこう梨花に答える。
「知ってるけれど」
「それ以上は、よね」
「名前も知らないわよ」
一番大事なそれもだというのだ。
「何て娘なのかしらね」
「それが不安よね」
「不安だけれどそれ以上にね」
どうかというのだ、確かに不安ではあるが。
「期待してるわ、一人お友達が増えるかも知れないから」
「そうよね、私もよ」
梨花はここでこの場でやっと微笑んだ、そのうえで美樹に言うのだ。
「どんな娘か、それでお友達になれるってね」
「期待出来るわよね」
「期待っていいわよね」
美樹もにこりと笑って梨花に述べた。
「それが出来るって何かいいわよね」
「そうよね、じゃあ今はね」
「期待してそうしてよね」
「待ってみない?」
今度は梨花から言う。
「不安よりずっと大きな期待を持ったままね」
「そうね、不安だけれどそれよりもずっと期待出来てるから」
「幸せでいようね」
「じゃあね」46
こう話してそうしてだった。
二人はそれからは談笑に移った、その内容は何処にもあるものだった。
流行りの服に近所の美味しいアイスクリームの店や授業のこと、そのことを話して今は期待を胸に抱いてそれを楽しむのだった。
第二十六話 完
2013・4・7
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