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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第八幕 「その刃の向かう先」
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ィィン!と金属同士のぶつかる耳障りな音がしたが、その効果は確かにあった。
両手剣を片手で持つことは、この状況で相手に大きな隙を与える非常に危険な行為だ。
しかもISの武器は素人が展開しようとすれば1秒ほどかかることも珍しくない。
それを0,2秒で展開して叩き込んで見せたのは、まさに火事場の馬鹿力というやつだろう。
二刀の衝撃によりパワーバランスは完全に崩れ、PICで抑えきれなくなった慣性に従いセシリアは後ろに押し出される。


「今度こそ・・・終いだぁぁぁぁぁ!!!」

今度こそ、今度こそ邪魔するものはない。“零落白夜”、発動――!!
もう何度酷使したかも分からないスラスターを限界まで吹かし、ブルー・ティアーズを切り裂かんと突進する。
もっと速く、もっと鋭く。


「―――!?!?」


―――だがそれでも・・・一夏の剣はセシリアには届かなかった。
セシリアは押し負けたと察するや否や、一夏が思い描いた角度と方向から逃れるために “PICを停止させた”。
吹き飛ばされた時の慣性はそのままにPICを停止させた結果、鉄の塊であるISは重力に従って急激に下へとその軌道を変え―― 一撃必殺の剣は、ブルー・ティアーズには紙一重で届かなかった。
すぐさまセシリアの方を見た一夏が見たものは―――バランスを一瞬で立て直し、こちらに狙いを定めているセシリアの姿。

「お終いなのは、貴方の方ですわ。愉しい円舞曲も、これにて閉幕(フィナーレ)にございます・・・」
「・・・ちくしょう」

腰部のアンロックユニット・・・5機目と6機目の大型ビットから次々とミサイル吐き出し、アリーナを爆炎で照らしあげた。



《試合終了 勝者 セシリア・オルコット》



「・・・使い勝手の悪いミサイルも、案外役に立ちますわね」

今一使いどころがなかったために動かさなかったそれを見つめ、不意に白式の方を見やる。
ミサイルの直撃を受けた衝撃からか、怪我こそしていないもののバッタリ倒れ伏している。
意識はないようだがそのうち戻るだろう。

今日の戦いを振り返り、ふっと笑みを零す。決して嘲笑ではなく、むしろ気の合う人間を見つけた、と言った感じの喜色を帯びた笑みであった。
悔しいと思えるという事は、諦めてはいないという事。まだ彼が成長できる証拠だ。
背を向けながら小さくつぶやく。

「再戦はいつでも受け付けますわ、織斑一夏さん。では、御機嫌よう―――」



 = = =



「・・・やはり、無謀だったか」

救護班によって保健室へと運ばれていく一夏を眺めながら、ぽつりと箒が呟く。
そう、あの時出撃する一夏に誰一人として「勝ってこい」とは言わなかったのは、皆何となくこうなるだろうと予想していたからだ
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