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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第八幕 「その刃の向かう先」
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りの手。
突きのために戻したインターセプターに、一夏は強引に剣を押し当てた。
やりたかったことは至極単純。鍔迫り合いに持ち込むことだ。

「押せよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「な、なんて強引な!?」
「時には強引なエスコートも必要だろ!?」

通常の剣術ならこんなことをやっても相手に振り払われ、仕切り直しになるだけである。
だが、二人がISを纏い、空中で戦っているという状況がそれを大きく変えた。
足がついた環境なら振り払うのは難しくない。普通に下がるなりなんなりやりようはいろいろあるだろう。
だが、当然二人は空中にいるのだから足場など存在せず、そうなると勝負を決めるのは――純粋な機体のパワーと推力になる。一瞬でも力を抜けば弾き飛ばされて隙を晒すこととなる。
ギリギリと音を立ててセシリアを押し込む一夏に、セシリアも苦悶の表情を浮かべる。

――だがしかし、これだけの状況においてもセシリア・オルコットという女は一夏の予想を上回ってきた。

「ブルー・ティアーズよ!あるべき場所へお戻りなさい!」
「な、何をする気だ!?」
「無論、こうするまでですわ!!」

流石のセシリアもこの状況でビットを操作、一夏を打ち払うという事は出来なかったようだ。
だが、ビットが機体に舞い戻ったことで “ビットの分の推力とPICの出力を機体に上乗せ”してきた。
実はブルー・ティアーズという機体は他のどの第3世代機よりもPICの総合出力が突出している。理由は簡単で、BT兵器はPICによる大幅なアシストを受けなければ空を飛ばすことさえできないからだ。ならばそのBT分のPICと推力を機体と直結したらどうなるか?その答えがこれだ。
結果、白式が押し込む勢いが急激に減退する。機体性能で押してはいるが、これでは押し切れない。

「さぁて、貴方のISはあとどれくらいエネルギーが残っているのかしら!?
 私を倒せるだけ残っていれば良いですわね!」
(本当になんて奴だ!あと少しで押し切れたのに・・・
 しかも、こちらの状況も見透かされてる――!!)

これが代表候補生の実力。あの時あの場所で“挑むだけ無駄”と言い切った女の力。
押し切ることが出来れば、残り少ないシールドエネルギーを使って“零落白夜”による一撃を叩き込めた。だがこのままでは純粋にシールドエネルギーが足りなくなる。

何か、何か手は―――

その時、脳裏にあるものが閃いた。一夏は迷わずその方法を実行する。
それもまた、危険な賭けだった。

「ッッ!!!こいつでぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「そんな、まさかっ!!?」

両手で握っていた雪片参型から片手を離し――瞬時にもう一振りの刃 “雪片弐型”を展開。
そしてそれを一夏は――参型の峰に有らん限りの力で叩きつけた。
ガキ
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