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トーゴの異世界無双
第百八話 よく頑張ったな、ステリア
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んだ?」


 すると彼女から溜め息が漏れる。


「はぁ、悔しいけどアンタの言う通り、このまま闘って、もしバレたりしたら大変だしね。私だけが怒られるならいいけど、協力して下さったニア様にご迷惑はかけられないし……ここで終わりでいいわよ」


 その声は何だかサッパリしていた。
 まだ不完全燃焼な部分はあるが、少しは満足できたということだ。


「引き分けになったのは悔しいけどね」
「はは、そっか」


 いやいや、普通王女がそんなふうに闘わないからな?
 そう突っ込もうとしたが止めた。
 言ったらきっと怒りを買ってしまうだろうと思ったからだ。


「ま、特等席で観戦させてもらうわよ。トーゴの闘い」
「そんじゃ、恥ずかしい試合はできねえな」


 闘悟は立ち上がってバンリドを見る。


「決まったようじゃのう」
「ああ、ラストはオレとアンタの試合だ」
「よっしゃ、んじゃやるかのう」


 そうして闘悟とバンリドは舞台に上がる。
 これが正真正銘、二次予選最後のバトル。
 これに勝った者が本戦へと駒を進めることができる。


「さて、派手にやらせてもらおうか!」





「ところでさ、アンタも帯剣してねえけど、もしかしてアンタも魔道具持ちか?」


 闘悟の質問にバンリドは首を横に振る。


「そんな高価なもん持っとらんよ」
「つうことは、純粋な魔法士ってことか?」
「そうじゃのう、魔法士っていうとそうじゃけど、まあ、その解答はこれから見せようかのう」


 二人は互いに視線をぶつけ合う。
 闘悟は魔力で身体能力を強化して、一瞬で間を詰める。
 その動きを捉えられた者はごく僅かだろう。
 だがその中にバンリドも入っていた。
 見えていたのだから、普通なら避けるか迎撃するかどちらかだ。
 だが彼がとった行為はそのどちらでも無かった。
 ただその場に立っているだけだ。


 ズゴッ!!!


 闘悟の拳は確かにバンリドに命中した。
 だが拳を引っ込めることも無く、その場の状況に硬直してしまった。
 何故ならバンリドは何事も無かったように立っていたからだ。



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