第百八話 よく頑張ったな、ステリア
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今までとは比較にならないほどの火の玉を生み出しましたけど……?」
それは誰もが聞きたいことだった。
あの時は、時間もほんの一瞬で魔法が完成していた。
しかも、今までとは違い過ぎるほどの火の玉の複製が現れていた。
これは、先程の条件には当てはまらない。
皆がフレンシアの言葉を待って耳を澄ましている。
「あの時、彼の……ウースイ選手の魔力が急激に減りました」
「へ? 魔力が……ですか? ですがトーゴ選手の言う通りなら、あれは魔力をほとんど消費しないのでは?」
そうなのだ。
だからこそウースイはあれだけの火の玉を使用しても、魔力消費が微量でピンピンしていたのだ。
「恐らく最後のアレが、あの魔道具の切り札なのではないでしょうか?」
「切り札?」
「自身の魔力のほぼ全部を注ぐことで、あのような現象を引き起こす効果を備えているのでしょう」
闘悟もその解説を聞いて、自分が考えていた仮説と同じだったので半(なか)ば確信した。
すると、バンリドが笑いながら言葉を放つ。
「ははは! さすがはフレンシア様じゃのう! まあ、補足するとじゃのう、この『魔補螺羽(まほらば)』は、一度に複製できるのは十三。そして、最後に使用したアレは、十分以内に使用した魔法を一瞬にして生み出す効果があるんじゃ。まあ、そのせいで魔力は空になりよるんじゃけどのう」
十分以内に使用した魔法ということは、それまでステリアを攻撃していた火の玉の数だけ出現したというわけだ。
もしそれまでに中級以上の魔法を使っていたら、もっととてつもない威力になっていただろう。
確かに対価(たいか)として、使用した後は魔力が空になり動けなくはなるが、それを補って余りあるほどの能力だ。
もし攻撃を命中させることができれば、まさに奥義とも呼ぶべき魔法なのかもしれない。
「て、てめえバンリド……勝手にネタばらししてんじゃねえっての……」
怒鳴る元気はないが、そこまで舌が回れば命の心配はなさそうだ。
「はいはい、お前さんは大人しゅうしとけのう。あとは俺に任せぇ」
バンリドはそう言ってもう一度ウースイを座らせた。
魔力がほぼ空になったせいで、ほとんど身動きができないが、闘志だけはまだ失っていないようだ。
舌打ちをしながら闘悟ではなくステリアの方を睨んでくる。
「ちくしょうが、こんなとこで負けかっての……」
そんなウースイを苦笑しながらバンリドは見る。
そして立ち上がり闘悟の方に視線を送る。
「さあて、そっちも無事じゃなさそうじゃが、やれるんかのう?」
ステリアに指を差す。
闘悟はステリアに体を近づける。
「どうす
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