第百八話 よく頑張ったな、ステリア
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リアは自分の思いを話すと、嬉々(きき)として相談に乗ってくれ、手続きもしてくれたらしい。
もちろんギルバニアも了承済みだ。
ステリア自身、父との約束を破ったことは心苦しいが、やはり参加してみて良かったと思った。
自分の力を試せたのも嬉しかったが、世界には様々な強者がいることを直に感じることができたのが、何よりも大きな経験になった。
「なるほどな、でもそんな恰好じゃもう無理だろ?」
「ま、まだイケるわよ!」
闘悟の侮(あなど)るような言葉にムッとなる。
確かに大きなダメージを負ったが、諦めるほどのものではない。
「違う違う、その兜だよ」
「え?」
「そんなんじゃ、動いたら壊れて素顔がバレるぞ?」
「むむむ……」
「そうでなくても、これからはもっと派手な戦闘になるかもしれないし、いつかはバレるぞ?」
闘悟の言うことは最もだった。
今回は何とか兜の全壊は防げたが、髪の毛が露(あら)わになるほどの闘いにはなった。
これからは、今の試合よりも過酷になる可能性が高い。
となると、今度こそ兜が破壊し、素顔を衆目(しゅうもく)に晒(さら)すことになるかもしれない。
ステリアは考えるように顔を俯かせている。
そんな彼女を一瞥(いちべつ)すると、今度はウースイの方へ視線を動かす。
「アッチもどうやら無事みたいだけど」
ウースイもバンリドに支えられ体をおこしていた。
だが鎧など身に着けていなかったせいか、ステリアより受けたダメージは大きいようだ。
その時、実況席ではモアとフレンシアが今の攻防の解説をしていた。
「先程のウースイ選手の魔法ですが、一体どういう現象だったのでしょうか?」
「そうですね、あれは恐らく魔道具によるものでしょう」
「魔道具ですか?」
「ええ、トーゴくんが言った通り、あの魔道具は魔法を複製するものみたいですが、幾つか制限があるみたいです。彼らはもう気づいているみたいですが」
彼らというのは闘悟達のことだ。
恐らくスレンの闘い方を見て、そう判断したのだろう。
「制限というと?」
「あの魔道具は恐らく、動きながらでは使用できないのでしょう」
「あ、なるほど! だからウースイ選手が動いたら火の玉が消えたんですね!」
観客達もなるほどと頷く者がほとんどだ。
「それに気づいたスレンさんは、彼が魔法を完成させるまでに、先に攻撃をして不発を促したのでしょう」
魔法完成までは、少し時間が掛かるので、それまでに攻撃をして、ウースイを動かすことができれば、魔法の不発を狙えるのだ。
「そういうことでしたか! それでは最後の衝突はどういうわけでしょうか? あの時はまさに一瞬で、
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