第百七話 スレンて……勇気があるよな
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手く避けながら前に進む。
ウースイの近くまで来たところで、彼は再び水を噴出させる。
そして霧状にさせてまた身を隠す。
スレンは先程と同様に足を止める。
だがここからが違った。
彼女は霧の中から飛んでくる火の玉から身を避わすのではなく、そのまま剣を手にして突っ込んだ。
「あのバカッ!」
闘悟はそんな彼女の行動に目を見張る。
向かってくる火の玉の直撃だけを何とか剣で防ぐ。
だが防いでいるのは直撃だけで、何発かは体に当たっている。
鎧もさすがに傷ついていく。
それでもスレンは動くのを止めずに火の玉の方向へ走る。
そして今度はスレン自身が地面に向けて火の魔法ぶつけ、霧を晴れさせる。
そこから現れたのは、間違いなくウースイだ。
火の玉の方向に彼がいると推測して、危険を冒(おか)して進んだが、その代償としてかなりの体力を奪われた。
だがこれでウースイの懐へ飛び込むことができた。
もちろん、そんな行動をとった彼女を見て驚愕した彼はつい叫ぶ。
「なっ! 何て奴だっての!?」
一つ間違えば、直撃を受けて、火の玉の集中攻撃にさらされるかもしれないのに、懐に入るために、こんな方法をとった彼女の勇気という無謀に驚きを隠せなかった。
(マ、マズイっての! このままじゃやられるっての!)
明らかに動揺した表情を作り焦るが、このままでは倒される危険が高い。
「くそが! 負けるなんてありえねえっての!」
そう叫ぶと、彼はイヤリングに触れながら叫ぶ。
「はばたけっ! 『魔補螺羽(まほらば)』っ!!!」
イヤリングがピカッと光ったと思うと、突然予期せぬ出来事が起こる。
ウースイの周囲に数えきれない火の玉が、一瞬のうちに出現したのだ。
バンリド以外は、その場を見て驚愕する。
何が起こったのか全く分からなかった。
先程まで何も無かったというのに、一瞬で場が変化した。
「シュ、『火の流星群(シューティングスター)』!!!」
無数の火の玉が目前にいるスレンに集束する。
な、何て数の火の玉だ!
『紫の弾幕(だんまく)』とはよく言ったものだな全く……。
「避けろスレンッ!!!」
だが、突然のことにスレンは硬直している。
兜のせいで表情は見えないが、きっと焦っているに違いない。
そう思ったが、スレンが行った行為は全く別だった。
何と彼女は同じように火の魔法を使ってウースイに向けて放つ。
「なあっ!?」
その行動に驚いたのはウースイも同様だった。
先にスレンの攻撃がウースイにヒットする。
「ぐわぁっ!!!」
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