第百六話 レアな魔道具ってやつか
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な」
闘悟はある仮説を思いついたが、それを確信に変えるために、もう一度彼が火の玉を作る瞬間を凝視する。
「まだまだ行くっての!」
彼の周りに火の玉が現れ始める。
まず一つ作られると、その周囲に次々と現れる。
「ふうん、なるほどね」
闘悟は得心(とくしん)がいったかのように唸る。
するとスレンの体に火の玉が掠(かす)り始めた。
どうやら体力が奪われ、動きが悪くなってきているようだ。
「もう辛くなってきたかっての? こっちはまだまだ行けるっての!」
ウースイは楽しそうに口角(こうかく)を上げて叫ぶ。
そこへ闘悟が言葉を投げかける。
「そりゃそうだろうな!」
突然の闘悟の言葉に、その場にいる者は彼に視線を注ぐ。
それはウースイも同様だ。
肩で息をしているスレンに軽く視線を流す。
少し休憩してろと意味を込めた。
彼女もそれに気づいてくれるだろう。
「一体何だっての?」
「いや〜さすがは『五色の統一者(カラーズモナーク)』だなと思ってな!」
「はあ? 何言ってやがるっての?」
眉間にしわを寄せながら闘悟を睨む。
「いやなに、それほどの大物はやっぱ貴重な魔道具も持ってるんだなってな」
「……っ!?」
闘悟の言葉にウースイは固まる。
「ほう、やるのう」
バンリドは感心するように声を漏らす。
その言葉で、闘悟の言(げん)が、的を射ていることを証明する。
「黒髪……てめえ」
鋭い目つきをぶつけてくるが、闘悟は冷ややかに受け流す。
「さあ、種明(たねあ)かしの時間だ」
わざとらしく大げさな言い方をして、皆の注目を一身に引きつける。
「そのイヤリング……魔道具なんだろ?」
闘悟はウースイのイヤリングを指差す。
「くっ……」
ウースイはこんなに早く見破られたことが悔しいのか苦々しい表情をする。
誤魔化すと思っていたが、正直というか嘘を吐けないタイプなのか、その反応だけで闘悟の追及が真実だと判断できる。
「アンタが火の玉を作る時、必ず一つだけ先に作られる。その後に複数の玉が現れる。まるで複製されたかのようにな」
「うぐっ!」
ウースイは唸(うな)りながら身を引く。
「多分その魔道具、火の玉を複製できるんだよな?」
「おぐっ!」
どうやら図星のようだ。
それにしても、ウースイの反応が分かりやす過ぎて、少し駆け引きをしなければならないかなと思っていた闘悟は拍子抜けしてしまう。
「トーゴとやら、何で気づけたんじゃ?」
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