御馳走と交換
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「キュー」としか喋れないスラ子だが、人間の言葉は理解している。
それ故に、少女のお願いは聞き入れられない。
巣を作る為に集めた枝。
「はい、どうぞ」と渡せない。
嫌嫌と頭を横に振った。
「い、嫌ですか・・・あっ!」
拒否されて落ちこむ少女。
しかし、何か思い出したようだ。
ベルトポーチから、ある物を取り出す。
それは薬草。
「あ、あの!薬草6個と交換では駄目ですか?」
「キュ!?」
スラ子は驚いた。
やわらかな枝6本と薬草6個を交換?
そんな夢のような話があるなんて!
瞬時に「枝<薬草」と決断。
人間に襲われた恐怖や巣を作る考えが、頭の片隅に追いやられた。
「キュー♪」
蔦でまとめた枝を持って、少女の足元に駆け寄る。
その瞳はキラキラ輝いていた。
御馳走もとい薬草に、目が釘付けだ。
「か、可愛い・・・じゃなくて。はい、交換です。」
少女は薬草を手渡し、枝を受け取った。
「これでロキ君も喜んでくれるかな。小人さん、ありがとう。」
「キュキュー!」
互いにお礼を言う1人と1匹。
でも、恐るべき事実をスラ子は知らない。
枝の方が高く売れるのだ。
バザーで1本売ると、薬草が4〜5個買える程に。
「キュー♪」
幸せいっぱいの笑顔。
なるほど。
物の価値はそれぞれ、という事か。
考えてみれば、スラ子はバザーを利用できない。
魔物だし。
今回は良い交換だったといえる。
それにしても、ロキって誰だ。
・・・ま、まさか。
少女の恋人!?
恋人の為に集めていたと!?
許さん。
許さんぞ、ロキ。
このリア充め!
爆発しろーーーーーーーーーーっ!
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