蒼風の谷
シルバ・ミラー
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「うおおおぉぉぉぉぉっ!!!」
「……?」
エリザとセリナがなんかデッカイ奴に捕まったのを見て、居てもたってもいられず変態を吹き飛ばして駆け出してしまった。
「らぁっ!」
立ちはだかる人形に魔力をチャージした剣を突き刺すが、硬くて弾かれた。
反撃とばかりに人形は腕の振り回し灌木も岩も砕きながらこちらに進んでくる。だが、アクションが一つ一つ大きいので見切るのは簡単だ。
隙を見て間接部に剣を振るっても効果が見られない。
「なんて硬さだ。」
「お褒めいただきありがとうございます。」
「褒めてねーぞ!?」
人形に捕まった二人の苦悶の表情が目に入る。こんな事で手間取ったら助けられない。
弱点は?こいつは多分ゴーレム。なら、弱点は目か体内の魔術符もしくは術者自身。
見たところ目らしいものはないし、魔術符特有の魔力もない。ということは術者を叩けば。その前にゴーレムを片付けなければならないか。
ん?どちらにしろゴーレムを片付けなければならのか!?
「無駄よ、その子達は倒されない。」
「やらなきゃ分からないだろ?」
「そう……。なら、足掻きなさい。殺せ。」
『グオオォォォォ!!!!』
ゴーレムの咆喉が響きわたる。咆喉自体に威圧感があるように感じ、少し後ずさる。
「行け。」
「くっ!」
速い。見切れないこともないが、速すぎてつけ込む隙がない。
「それでもっ!オレはあきらめない!」
「そう……。なら、彼女たちが潰れるのを見ているといいわ。」
「いたいっ!いやぁぁっ!」
「うぁぁっ!」
「セリナ!エリザ!がっ!?」
彼女たちに目を向けた隙にゴーレムの一撃をまともに受けてしまった。衝撃で剣を落とし、意識も朦朧としてきた。
砂を踏む足音が近付いてくる。視界に細い足が入る。
「楽しかったわ。ここまで耐えて人は初めて。でももう終わり。止めを刺させて貰うわ。」
鞘から剣が抜かれる音がした。もう体が動かない。
「さよなら、死神さん。違う出会い方ならあなたを好いたかもしれない。」
「あきらめて、たまる、か!」
「まだ、足掻くの?いい加減……。」
「いや、だ。」
「っ!」
頭で何かがはじけ、思考がクリアになった。背景の荒野が消え、敵と守るべき仲間しか見えなくなる。
喉元に突きつけられていた短剣が見えないなにかに弾かれ、敵がバックステップをしてからオレは立ち上がる。
「もう、いやなんだ。仲間が死ぬのは。」
「なんなの?これ。」
剣を居合の構えにしゆっくり近づいてくるゴーレムを見やり一閃。あれほど硬かったゴーレムがバターのように切れ、慣性の法則に従いゴーレムの上半身は前に落ちた。急所をヤられたのか再起動する気配はない。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ