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東方守勢録
第四話
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「さてぇ……それはどうでしょうかね?」

「!!」


一息付いていると、いきなりスピーカーから声が聞こえてくる。試作一号機を作成に関与した牧野の声だ。


「彼らにも『影丸』の相手をしていただいてますよぉ? データはどんどん集まってますから」

「……質問いいですか?」

「はいはいなにかなぁ?」


牧野は面白がっているようだった。


「あなたは……この軍の本当の目的をしってるんですか?」

「本当の……目的ぃ?」

「はい。俺達が聞いていた命令とは違う……本当の目的です」


悠斗がそう言うと、牧野はなぜか黙り込んでしまった。裏切り者である悠斗の言葉が信用できないのか、あるいはなにかを考えているのかわからないが、何かをしゃべろうとしているのは明らかだった。


「……もし、それが本当なら……我々は間違ったことをしていますね」

「……」

「今、明確な答えはしないでおきましょう。いずれ……その答えは出るかもしれませんしね」

「……はい」

「データはたくさんとれました。今回はそれで十分でしょう……では」


それ以降、牧野がしゃべることはなかった。


「あの人は……いったい?」

「牧野博士は言動はちょっとあれですけど……根はやさしいし、きちんと考えてるんです。今回も、日本のためと考えてこられてますから」

「そうなんですか……」

「はい。まあ、今はそれよりも……ここの心配をしましょうか」


悠斗はそう言って天井を見上げていた。
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