第6話 顕われたのは黄泉津大神の眷属ですよ?
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光の壁から放たれる光を受け、後方に三種類の影を作り出して居る美月と、そしてハクと言う名前の巫女服姿の少女が立つだけで有った。
いや、その光の帯は、間違いなく、ハクの元から発せられている。
「良く見てみぃや、兄ちゃん」
そう言うタマ。良く見てみろと言われても……。
いや。確かに違和感が――有る。
ハクと名乗った少女の足元から、後方に発生している影。その三種類の影が別々、三種類の動きを繰り広げていたのだ。
「分割思考。高速詠唱。現在、口訣と導引は千引きの大岩を閉じる呪文を行使中やから兄ちゃんらの身を護る為の詠唱を行う事が出来ない。
せやから、自らの思考を分割して、影に導引を結ばせる」
分割思考による呪文の複数起動。能力の高い魔法使いならば、稀に使用可能な存在も居る。
そして、呪文の高速詠唱。これも戦いの場に赴く魔法使い系には必須技能。これを身に付けていない魔法使いも、いくら巨大な魔力を持って居て、更に強力な呪文を行使出来たとしても、詠唱に時間が掛かり過ぎたのでは役に立つ事は滅多にない。
まして、こう言う、初見の場でいきなりパーティを組まされた場合は特に。
そう。大岩の向こう側。タマが言うには黄泉に堕ちた伊邪那美の命の放った毒蛇を抑え込みながら、神の放つ神力に抗する為の強化の祝詞を唱え、自らが敷いた結界を維持する。
更に、あの千引きの大岩を閉じる祝詞も同時に唱えながら。
これだけの事が同時にこなせる魔法使い系の存在には、早々出会えないだろう。
まして、戦闘開始前に敷いた結界で、自分たちの身を自分たちで守りながら、次に雷神が顕われる事も予測して策を打って置く。
しかし、流石に、取り押さえる事は出来ても、完全に無効化。もしくは、消滅させる事は出来ないらしい。
徐々に、身を捩り、その度に蒼白い雷光を発しながら、白い光の帯から脱しようとする雷神。
もし、この戒めを破られると、光の速度に抗する術は、今の紡にはない。
いや、未来予知の能力でもない限り、光速の攻撃を防ぐ術はないだろう。光速の攻撃。それは、つまり、光った瞬間に攻撃が到達していると言う事なのだから。
その瞬間、祝詞を唱え続けるハクを見つめた後、強く首肯く紡。
ゆっくりと両腕を前に翳し、周囲から。そして、何より自らの内から湧き上がる気を集める紡。
そして、大きく下から上に腕を回し胸の前で更に気練り上げて行く。
そうだ。それは、一瞬、一瞬に力を増して行く気功弾。それはやがて、力強い生命力を意味する炎の色彩を帯びて行き……。
そうして、その大きさが一定の大きさを越えた正にその瞬間!
白き光の帯に拘束されている毒蛇に向かって放たれる、超高温にまで高められた|
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