第6話 顕われたのは黄泉津大神の眷属ですよ?
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
う前に見た霧の向こう側に存在して居る巨大な岩を動かさなければならない。
しかし……。
しかし、大岩の向こう側から発せられた死のイメージと、一瞬、垣間見せた異様な一対の瞳が、少しの不安を感じさせていた。
その刹那。
【かけまくも畏き、伊邪那美の大神】
先ほどまで心の中に届いて居た一種類の【声】……精気を求めてただ襲い掛かるだけの本能に基づく【叫び】などではなく、明確な意志を感じさせる【言葉】が心の中に響く。
但しそれは、一誠の全身の毛を総毛立たせるには十分な威圧感を与える物で有った。
そう。この【声】は危険。本能が、経験が、そして、一誠の感覚すべてが警鐘を鳴らしている。
しかし、それでも尚、繋ぎ留められたかのように足が動かず、危機感だけが大きく成って行く。
その刹那、周囲に澱んだ霧が、じわじわと渦を巻き始める。
そう。瘴気を孕んだ霧の渦巻く様がより緊張感を高め、強制的に恐怖心を植え付けて行くのだ。
瞳を開くべきか?
【黄泉津広殿にいます時になりませる八柱の雷たち、吾が言の葉を聞きて――――】
一瞬の迷いにより発生した空白。その瞬間。
霧の向こう側で何かが蠢く気配がする。
瞬転、一誠の瞑られた瞳ですらも感じられる程の眩いばかりの光が洞窟内を満たした後、弾き飛ばされ、遙か後方の大地に叩き付けられる一誠!
いや、彼だけではない。深き闇の奥。其処から四人に対して光と同時に放たれた黒き何か……、毒蛇は八匹。つまり、一人に二匹ずつの新たな毒蛇が放たれていたのだ。
しかし、そう、しかし!
それ以上の動きが発生する事はない。何故ならば、闇の奥より放たれた毒蛇が、次の刹那には強烈な光輝をはなつ光の帯に因り絡め取られていたのだ。
鱗を軋ませ、光の束縛から逃れようとする度に眩い光が発し、昏い洞窟内に、つかの間の黒と白の拮抗を演出する。
「頭に大雷、胸には火雷、腹に黒雷、陰部には拆雷、左手には若雷、右手には土雷、左足には鳴雷、最後に右足には伏雷。
これが、黄泉に堕ちた伊邪那美の身体に纏わり付いていた、八柱の雷神や」
紡の右肩に存在するタマがそう答えた。
しかし、それならば、その雷神を捕らえている、あの光の帯は一体……。
雷神と言う事は、その動きは正に神速。おそらく、光速に匹敵する速度で飛来したはず。故に、黄金聖闘士の小宇宙を持ち、黄金聖衣を身に纏う一誠ですら対応が遅れ、吹き飛ばされたのだ。
その雷神を互角に押し止めているあの光の帯。その光の帯の発生源。それは……。
その光の行き付く先、放たれた先に視線を送る紡。
そこには、先ほどまでと同じように、三方向から紡の作り上げた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ