第百四話 間一髪ってとこだったな
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ダー)』よりは被害が抑えられるということだ。
「なるほど」
「魔力を体に戻したのは、彼の命を助けたかったからではないでしょうか?」
「……どういうことでしょうか?」
「暴走したせいで、タイセーさんの体から、まるで絞り出すように魔力が流れ出ていました」
「確かに……凄い魔力でした」
「あれは彼が元々備えている魔力量では考えられないくらいの大きさでした」
「そ、それではどうしてあんなに?」
元々備わっている魔力量を超えるような出来事が起こるとは、闘いに興味が無い者でも関心がある話だった。
一体どういうことが起きたために、そんなことになったのか知りたくて、モアだけでなく観客やミラニ達もフレンシアの解説に注目する。
「恐らく生命力そのものを魔力に変換していたのです」
「生命力……ですか?」
「あのまま出し続けていれば、タイセーさんは命を失っていたかもしれません。そうでなくても、体に何らかの後遺症を背負う人生にはなったでしょうね」
その言葉に誰もが身震いする。
タイセーなどサッと血の気が引いていくのを覚える。
「魔力暴走とは、それほどまでに恐ろしいものなんです」
魔力は誰もが持っている。
つまり、誰もが暴走する危険性を備えているということだ。
フレンシアの言葉を聞いて、自分のことのように感じて青褪(あおざ)めている者も中にはいる。
「一度魔法として使用した魔力は普通は元に戻せません。タイセーさんは、まだ魔力、つまり生命力を出し尽くしてはいませんでしたが、あれだけの量の魔力を生成して放出していたんです。もしトーゴくんが戻していなかったら、それなりのリスクを体に負ったかもしれません」
するとその言葉が終わると同時に、タイセーが闘悟を抱きしめて泣いていた。
「うおぉぉぉぉぉ! ホンマありがとうなぁっ!!!」
妻のセイラだけではなく、自分自身も救ってくれた闘悟に感激していた。
闘悟は突然抱きつかれて驚いていたが、彼の気持ちも理解できたのでしばらくされるがままになっていた。
それにしてもフレンシア様、やっぱすげえな。
あれだけの行動を見ただけで、自分の考えを丸裸にしてしまった。
本当に素晴らしい慧眼(けいがん)だと感じた。
「トーゴくんのしたことは、素晴らしいことですよ」
フレンシアは闘悟に向けて優しく微笑む。
闘悟もその笑みに気づいて、照れたように笑う。
それを見て胸をキュンとさせたフレンシアは我慢できないように大声を張り上げる。
「もう〜〜〜〜トーゴくんやるぅ〜〜〜〜〜!」
彼女の言葉がきっかけになり、同じように感動を覚えた観客達から拍手を声援が届いてくる。
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