第百四話 間一髪ってとこだったな
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身に魔力が戻ってくるのを感じる。
先程までの虚脱感(きょだつかん)は、ほぼ無くなっていた。
しばらくして全てをタイセーの体に戻し終えた。
そこからは少しの間沈黙が流れる。
皆が突然の出来事に理解が追いついていないのだ。
しかし、徐々に人々の声が歓声へと変わる。
「す、す、すっごぉぉぉ〜い! 何と! 何と! なな何とトーゴ選手! たった一人で、あの『白雷(ホワイトサンダー)』を沈めてしまいましたぁ!」
「きゃ〜〜〜〜〜トーゴく〜〜〜ん! 素敵よぉ〜〜〜〜!」
モアとフレンシアの声が闘武場を包む。
皆も安堵(あんど)の声を上げている。
一人の女性が助かったのももちろんだが、あのままでは自分達にも襲い掛かったであろう脅威が去ったことで安心したのだ。
「セイラァァァッ!!!」
そう叫びながらタイセーが、未だ呆然としているセイラのもとにやって来る。
そして強く抱きしめて何度も何度も謝る。
「ゴメン! ゴメン! ホンマゴメン! でも無事やったぁ……ホンマ良かったぁ……」
「ちょ、痛いってタイセー!」
抱擁の苦しさに我に返った彼女は、体と体の間に手を入れて引き離そうとするが、タイセーはさらに力を込める。
「うぷ!」
「良かったぁ! ホンマ良かったぁ!」
「い、痛いっ……」
「ああ……セイちゃんが無事やったぁ……」
「痛い…………って言ってるやろボケッ!」
「ぐぼえっ!」
セイラはあまりの苦しさから解放するために、タイセーを正義の鉄拳で吹き飛ばした。
「な……何で……?」
「手加減しぃやアホ!」
頬を擦りながら涙目になっているタイセーを見下ろしながら説教をする。
すると、近くまでやってきたミラニがセイラに声を掛ける。
「セイラ……」
「ん? ああ、ゴメンな心配さしたやんな?」
ミラニは彼女の顔を見て、無事なのを確認してホッとする。
「そ、そうか、それは良かった」
どうやら本当に無事のようで、心底安心する。
そして、その安心を提供してくれた張本人に顔を向ける。
「トーゴ、貴様にも礼を言うぞ」
「おう、気にすんなって。でもまあ、間に合って良かったよ」
あとちょっとでも遅かったら大惨事になっていた可能性があった。
するとセイラが闘悟の近くにやって来て頭を下げる。
「ありがとう」
「へ?」
闘悟はいきなり声を掛けられたので驚いて声を漏らす。
「ホンマ助かったわ!」
「いえいえ、どう致しまして」
すると、いきなり両手を掴まれた。
ただその相手はセイラではなくタイセーだった。
「ホ
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