暁 〜小説投稿サイト〜
トーゴの異世界無双
第百四話 間一髪ってとこだったな
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話



「セイラ何をしているっ! 早く逃げろっ!」


 しかしその声は届いていないのか、セイラは歯を食いしばりながら前を見据えている。


「タイセー! 意識があるんだったら何とかしろっ!」


 ミラニはタイセーに向けて叫ぶが、タイセーは苦悶(くもん)の表情を浮かべて魔法を制御しようとしていた。
 だが体の力が急速に失われていくのを感じ、立っているのも苦しくなり膝をつく。


(ア……アカン…………セイラ……ッッッ!!!)


 必死に『白雷(ホワイトサンダー)』を操作しようとするが、全く言うことを聞かない。
 それどころか自分の力を奪い取り、さらに大きく強くなっていく。


「こ、これはマズイです! タイセー選手の暴走した『白雷(ホワイトサンダー)』がセイラ選手を襲う!!!」


 ミラニは彼女を助けようと向かおうとするが、『白雷(ホワイトサンダー)』がそれを邪魔するように目の前を横切る。


「だ、駄目だ! もう間に合わないっ!」
「ア、アカンッ! セイラァァァァッ!!!」


 タイセーは叫ぶが、まだ動けない彼にはどうしようもない。
 ただ愛しい妻が、自分の攻撃に襲われる様を見ていることしかできなかった。
 セイラも向かって来る『白雷(ホワイトサンダー)』をただ見つめるだけしかできなかった。
 観客達からも悲鳴が聞こえてくる。


 死ぬ……誰もがそう思った。


 だがその瞬間、今にも襲い掛かろうとしていた雷が、ピタリと動きを止めた。
 何が起こったのか、即座には誰一人理解できなかった。
 全ての雷の動きが止まり、静寂が闘武場を支配していた。
 そして今、セイラの目の前には、黒髪の少年が彼女を庇(かば)うようにして右手を雷に向けて立っていた。
 静寂を破るように、その少年の名をミラニは呟いていた。


「……トーゴ?」


 それは間違いなくトーゴその人だった。





 トーゴの右手から発せられる膨大な魔力の奔流(ほんりゅう)が、『白雷(ホワイトサンダー)』を抑えていた。


「ん〜これは急がなきゃな」


 トーゴはタイセーを見ながら言う。
 その場で魔力を解放していき、その魔力で一度覆(おお)っているはずの『白雷(ホワイトサンダー)』をさらに強く覆っていく。


「うっしゃ、これで全部覆えたな」


 確認するように周囲を観察すると、魔力でタイセーごと覆っていると判断する。


「あとは……」


 そう呟くのを合図に、辺りに広がっていた『白雷(ホワイトサンダー)』が徐々に縮んでいく。
 いや、よく見ると、それはタイセーの体に戻っていっているみたいだった。
 タイセーは呆然としながら、自
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ