第四話
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のある街までは片道約三日はかかる距離だ。有志を募ったり準備に大体一週間かかるとして、最低でも二週間後にはここに来るとみていいだろう。恐らく最優先の依頼として処理されるはずだ。
その間に配下を増やし罠なども設置しないといけない。
(まさに鴨がネギを背負ってきて自分から鍋に入ったな。これは盛大に歓迎しないと)
俺流の歓迎だがな。
「報告ご苦労様。さて、これからどうしよっかな……」
シオンからの報告を聞いた俺は手持ちぶさたとなった。ここには娯楽といったものが皆無なため時間の潰しようがない。
配下はまだまだ増やしていかなければならないが、今日明日に片付けなければいけない案件ではない。今回はそこそこの成果を得ることが出来たため、傘下の拡大は一時中断だ。
すると、やることが一気になくなる。俺は持て余す時間をどのようにして有効活用するべきか、ただそれだけに思考を割いていた。
「でしたら、調理場や風呂場を作られては? これらはそこそこのポイントを費やしますし、ご主人様でしたら難なく作ることができるでしょう。とくに風呂場は最優先で作って欲しいです。ええ、切実に」
アリアードを離れてからというもの湯編みなど出来るはずがなく、精々が濡れタオルで身体を拭くだけ。この辺りには水源地がないため水浴びも出来ないのだ。
やはり女としては一日だけでも整容をしないと体臭やら肌荒れなどが気になるらしい。何気ない風を装ってはいるが、仕切りに髪先をいじったり、鏡で身形をチェックしたりと忙しい。普段のシオンからは考えられない態度だ。
「俺としてはシオンの匂いは好きだし気に入っているんだけど――はい、すみませんでした」
芯まで凍てつくような殺気を孕んだ目で見据えられ、慌てて口をつぐんだ。
「レディの匂いを嗅ぐのがお好きだとは……流石はご主人様、常軌を逸した変態っぷりですね」
絶対零度を想わせるその声音と言葉は鋭利な刃物の如く俺の胸に突き刺さった。
性に奔放過ぎる俺の嗜好は変態と形容されてもあながち間違いではない。ロリからマダム、十歳――可愛ければそれ以下でも可――から四、五十代という広すぎる守備範囲に、大抵の属性は網羅している俺は現代でも変態紳士の名を惜しいが儘にしていた。唯一、俺の食指が働かないのはメガネとカニバリズムだけだ。
自他共に認める変態であるため、シオンの言葉に今さら傷つくような心など持ち合わせていない。しかし、罵倒されようと痛む心は持ち合わせていないが、一方でそれを快感と思える心も持ち合わせていなかった。俺はSなのだ、Mではない。
「それで、女性の体臭がお好きな変態ご主人様? 早急に風呂場は用意してく
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