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大魔王からは逃げられない
第四話
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開けられないからね。


「気に入ってもらえたなら何よりだ。さて、早速だけど君たちの仕事について話させてもらうよ。とはいっても既に予想はついているだろうけど」


 俺の言葉に自由気儘に駆けていたワンコたちが戻ってくる。ゴブリンたちはいつの間にか体育座りをして清聴スタイルを取っていた。


「君たちの仕事はただ一つ。侵入者の迎撃――つまり俺の命を狙う者の撃退だ」


 侵入者の多くはダンジョンの支配を目的としている。


 マスターがいるダンジョンを支配するには前任者を殺し、生体反応の消失によって初期化された指輪を登録するしか方法はない。つまり、このダンジョンにやって来る侵入者は皆、俺の命を狙っているのだ。


「見つけ次第好きにしてくれて構わない。ただそいつらが身に付けていた物とかは俺の元に持ってきてくれ。後、殺しちゃいけない奴は俺かシオンが伝えるから、よく聞くように」


 見回してしっかり理解していることを確認する。知性の低いゴブリンたちも今のところは理出来ているようだ。


「それと、女がいた場合は殺さずに俺のところに連れてくるように。これは必須事項だ」


【魔王さまー、ひっすじこーってなに〜?】


 ゴブリンの一匹が手を上げた。なんだかこれだと学校の授業だな。


 ゴブリンたちの知性は人間でいうところの小学生低学年、もしくは園児のそれに当たる。子供に語り掛けるように言葉を柔らかく砕いて話さないと理解しないまま頷いてしまうのだ。


「絶対に守れってことだ。守れなかった奴は死んじゃうから気をつけるようにな」


 朗らかにそう言うと、質問してきたゴブリンは慌てて首を縦に振った。


「んー、取り合えずはこんなところか。ああ、あと俺の命令には従ってもらうからよろしく」


 当然のことながら、このダンジョンにおいて俺がトップだ。ボスの言うことはしっかりと聞いてもらわないと困る。


【無論、百も承知。魔王であるあなたが我らのトップなのだから、あなたの言葉に従うのは至極当然のこと】


【わたしたちも魔王様に従います】


 クロと長の言葉に満足気に頷く。


 不意にまだ彼らのステータスを確認していなかったことに気がついた俺はダンジョンステータスからクロたちのステータスを呼び出した。


「どれどれ……」



〈ゴブリン〉
 種族:ゴブリン
 性別:雄
 年齢:三十歳
 愛称:長
 レベル:五
 経験値:二十八 / 次のレベルまで十二
 筋力:E
 体力:E
 生命力:D
 魔力:F
 敏捷:D
 抗魔力:F
 幸運:E
 習得スキル:殴る、蹴る、黄金の逃げ足、死んだふり
 特殊スキル:成
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