第三話
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ですか? 実は私、そこのダンジョンマスターを務めることになりまして」
『しかし、あのダンジョンにはケルベロスが陣取っているはずですが……』
「ええ、確かにいましたね。今は私の忠実な部下ですが」
『なんと! あのケルベロスを降したと!?』
くわっと目を見開く長さんとざわめくゴブリンたち。
「これでも魔王の名を冠していますからね。まあそういうことで、ダンジョンマスターとなったので只今部下を募集しているところなんですよ。ゴブリンの皆さんには是非、私の傘下に加わって欲しいのです」
恐らく長はこの話に乗るだろう。冒険者や他の魔獣の影に怯え、死と隣り合わせの生活を送るよりダンジョンに居を構えた方が生存率は大幅に変わる。また、洞窟暮らしといった生活環境が著しく改善される上に、傘下に加われば俺という後ろ楯が出来る。これ以上ない好条件だろう。
『……配下に加われば、我々を保護していただけるのですか?』
「約束しましょう。しかし、知っての通りダンジョンには頻繁に冒険者たちが訪れますので命の保証は出来かねます」
『それはわたしたちも百も承知です。わたしたちの同胞は人間に殺されましたが、日常的には魔物に殺される場合が多いのです。彼らから保護していただければわたしからは言うことはありません』
確かにブラックドッグに噛み殺されたゴブリンはよく見かけるな。
魔物たちの社会はまさに弱肉強食。強い者が優遇される世界だ。それは人間を含めた動物たちにも当てはまることだが、魔物たちはさらにシビアな世界で生きている。
ゴブリンはそんな魔物たちの中でも劣等種と揶揄されるくらい底辺の位置にいる種族だ。個体の戦闘力は人間を辛うじて上回る程度。知性はあまりなく、ただ繁殖能力に優れただけの種族だ。弱肉強食を旨とする世界では真っ先に狙われる種族でもある。
そんな彼らからすれば、他の魔物に襲われないというだけで意味のあるものなのだろう。
「私の傘下に加わる魔物たちは皆が仲間です。配下の者たちが君たちに手を出すことはないでしょう。外から魔物が訪れることも滅多にありませんが、その時は他の配下の者とともに行動させますのでご心配なく」
キングオーガなどのB級ならいざ知らず、その辺の魔物からすれば強者がうようよしているダンジョンはまさに魔の巣窟に見えるだろう。危険を犯してまでダンジョンに入ることはまずない。
そういう意味ではダンジョンは彼らにとっての安住の地だ。
『……わかりました。わたしたちは魔王様の傘下に加わります』
その言葉を聞いた俺は唇の端を吊り上げた。
「交渉成立。これからよろしくね」
元気よく喚
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