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大魔王からは逃げられない
第一話
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がいくつも現れた。精霊の中でも下位の存在だ。


 ふよふよと漂う精霊たちにシオンが優しく語りかける。


「この部屋の壁が崩れないようにお願いします」


 言語能力が無い下級精霊は意志を表すことができない。しかし、精霊の加護を受けているシオンや俺は彼らが肯定の意を示していることに気が付いている。


 精霊たちは再び土の中に戻って行ったが、壁の強度は今までとは比べ物にならないものになっているはずだ。そう簡単には崩れないだろう。


「さて、急増ではあるけど取りあえず部屋はこれで良しと。あとは家具の類か」


『倉庫』から机と椅子、ベッド、書棚、ワードロープを取り出す。最低限の家具だがちゃんとした部屋が出来るまではこれでいいだろう。


 同じ者をシオンの部屋にも用意した俺たちは開けた空間に出て夕食を取り、その日は寝ることにした。


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