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大魔王からは逃げられない
第一話
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く。


「この調子でしたら夜までには着きますね」


【そのくらいだね。大体八時間のフライトか。途中で休憩を挟みながら向かうとするよ】





   †     †     †





 途中に小川があったため、そこに降り立ち遅めの昼食を取ることにした。


 人型に戻った俺は『倉庫』から肉と野菜、バーベキューセットのような器具と皿を取り出す。


 ついでに熊が鮭を取るかのように素手で魚を弾き食料を確保する。食料はあって困るものでもないしね。


 テキパキと食事の支度を済ませるシオンは俺の皿に焼けた野菜を置いた。


「ご主人様、肉だけでなく野菜も食べてください」


「えー、野菜嫌いだもの」


「子供ですか……ほら、あーん」


 やれやれと肩を竦めたシオンは箸で人参を掴むと差し出した。ご丁寧に手を添えて『あーん』などされたら俺に抗う術なんてないじゃないか!


 渋々固く閉ざしていた口を開ける。うぅ、苦い……。


「よく食べましたね。いい子いい子」


「……子供じゃないんだけど」


「好き嫌いがあって自分勝手なんですから、大きい子供のようなものです」


「むう……」


 何も言えなくなった俺は大人しく箸を動かすことにした。


 食事を終えた俺たちは一服も兼ねて近くの木陰で昼寝をすることに。シオンの膝を枕に眠る俺の髪をメイドさんの指が優しく撫でた。





   †     †     †





 一時間ほど睡眠を取った俺は再びドラゴンに変身して大地を飛び立った。


 蒼天の空を飛び続けること四時間、ついに目的地であるコルドヤードへ辿り着いた。


 魔力を探ると、直ぐにダンジョンを見つけることができた。


「ほう、ここか」


 ダンジョンの入り口は洞窟の中にあるらしい。ぽっかりと闇に覆われた洞窟の中へと入り凹凸のある地面を踏みしめながら先に進む。


「おや? これはまあ、なんと」


「ケルベロス? 地獄の門番がなぜこんなところに……」


 ダンジョンの入り口となる階段は洞窟を入って五十メートルほど先にあった。


 元々、古代遺跡だったのか太い二本の石柱が天井へと伸び、石柱を挟むように階段が存在していた。


 そして、まるでここが俺の住み処だとでもいうように三つの頭を持つ巨大な体躯のケルベロスが階段の前で横たわっていた。俺たちの気配に気がついたのか頭を持ち上げたケルベロスは低い唸り声を上げてこちらを威嚇している。


「さて、どこかで次元が繋がって地獄から流れ着いたのかもしれないな。いやー、それにしても大きいね
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