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大魔王からは逃げられない
プロローグ
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うに迷宮を自分好みに改造することが出来る。経験値というものを稼ぐことによって改造することが可能となるのだ。


 そして、この【迷宮の指輪】が破壊された時、迷宮はその機能を止めて崩壊する。あたかも死んだかのように。この状態となると迷宮内は瓦礫で塞がれ、とてもではないが侵入できる環境ではなくなる。


 しかし、時が経つと瓦礫は自然と消滅し再び迷宮が復活する。地上ではどうだか知らないが、俺たちはこの現象を『生まれた』と表現している。


 俺は羽ペンをクルクル回しながら天井を見上げてしばし思考にふけた。


「…………よし、決めた!」


 勢いよく立ち上がり声高々にして宣言する。


「俺、今日から家を出ます!」


「……はい?」


 何を言ってるんだコイツは、という様に顔をしかめるシオン。俺は気にせず言葉を続けた。


「よくよく考えたらこのアリアードは先代から貰ったものだし、自分の手でダンジョンを作ってみたかったんだよね。ということで、俺今からそのダンジョンに行ってきますね」


「ちょ、ちょっと待って下さい。貴方がいなくなったら、このダンジョンはどうするんですか?」


「あー、ソル辺りに任せればいいんじゃない? あの子、下の者の意見を聞ける耳を持っているし、ああ見えてカリスマ性もあるしね。俺は居ても居なくてもそんなに変わらないから。ほとんどフェリス任せだったし」


 部下の一人に押し付ける俺をシオンが呆れた目で見てくる。


「仮にも魔王ともあろうお方がそれでいいんですか?」


 そう、俺はシオンの言う通り魔王である。とはいってもこれは称号のようなもので先代の魔王を倒した俺がいつの間にか次代の魔王となっていただけの話だ。このアリアードも元は先代魔王が作り上げたもので、俺はそれを継承しただけに過ぎない。まあ、その他もろもろも継承してしまったので、もはや人外の域に達してしまったけど。


「いいんだよ。ほら、魔王って傍若無人のイメージがあるじゃない。ラクシェミやリーゼも好き勝手してるし」


「どこから出てきたんですか、そんなイメージ。確かにあのお二人はその通りですけど」


「だろ? ちなみにこれは決定事項です。異論は認めません」


 ため息をつく専属メイド。


「はぁ、仕方がありませんね。処理はこちらでしておきますので、ご主人様は荷物だけ纏めてください。まったく、一度言い出したらいうこと聞かないんだから……」


「苦労をかけるね。愛してるよ」


「はいはい」


 愛の言葉を聞き流したシオンは足音を立てず静かに退室した。





   †     †     †





 衣服
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