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〜烈戦記〜
第五話 〜討伐令〜
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な辺境のへなちょこ親子の下より俺の下の方がよっぽど出世できるぜ?』

そう言いながら洋班は隣の豪帯様に目をやる。
豪帯様の拳に力が入ったのがわかった。

…悔しいでしょう。
しかし、申し訳ございません。

『お褒め頂きありがとうございます。…確かにここではこれ以上の待遇は望めませんな』
『…っ!』
『…』
『ふんっ。それでいいんだ』

この凱雲、いくら相手が相手であっても腕を買われたのは武士としては誉な事だ。

…だが。

『しかし、貴方の下よりは幾分もマシでございましょう』
『え?』
『!?』
『貴方の器量では私は使いこなせないという事ですよ、烈州州牧の 息 子 殿』
『き、貴様…っ!』
『…凱雲』

間接的に貴様と豪統様では器量が違うと言い放つ。
そもそも貴様の様な青二才の下で出世したところで武士として何を誇れようか。
私の主は豪統様ただ一人。
そして我が主を穢す者はこの凱雲が許さない。
本来ならこの餓鬼をこの場で即座に叩き斬ってやるところだが、主の命がある。
…命拾いしたな、小僧。

『凱雲…ッ!貴様の名覚えたぞ…ッ!』
『光栄にございます』
『…ッ!』

そう言うと洋班は即座に内宮を後にした。
豪帯様は安心したのか一気に膝をついた。
お疲れ様でございます。

…だが、私はまだこれからだ。

『…凱雲』

豪統様に呼ばれる。

『我が主は豪統様だけでございます』
『誤魔化すな!』
『え…と、父さん!?』

近付いて来た豪統様に胸倉を掴まれる。
それを見て何故豪統様が怒っているのかわからない豪帯様が慌てだす。
周りの兵士もそれを見て慌てていた。

『何故だ!何故あの村の事を喋った!答えろ!』
『父さん!やめてよ!凱雲は僕らを守って』
『帯は黙ってろ!』
『ッ!』

豪統様は怒りのあまり豪帯様に怒鳴る。
それを受けた豪帯様は完全に怯んでしまった。

『何とか言え!凱雲!』
『我が主の望みを叶える為にございます』
『ふ、ふざけるな!』

ドカッ

顔に豪統様の拳を受ける。
だが、私の方が体格があるせいで怯みはしない。
それを見て豪統様は悔しそうに若干私から後ずさる。
少し冷静さを取り戻したのを見計らって私は膝を着いて平服する。

『…勝手な真似をした事は存じております。本当に申し訳ございませんでした。…ですが、蕃族との争いを避けるにはあの村を引け合いに出さねば…』
『だがっ!彼らは、彼らは賊ではない!彼らは…私の民だ…』
『…』

そうだとも。
豪統様はいつだってこうだ。
豪統様が言われる村の民とは、元々村だったところを根城にする紛れもない賊なのだ。

豪統様が関将に就任した時に行った政策の内の一つと
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