第五話 〜討伐令〜
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に従ったまででございます。
心の中でそう呟きながらこちらもあちらより深く、そして気付かれないように頭を下げる。
ふと後ろに目をやれば安心したように息をつく豪帯様がおられる。
彼は彼でとても素直で純粋でそこが魅力だが、裏を返せばまだ世の中の清濁を飲み込む器量が無いという事だ。それが仇となり今回の問題が起きた以上、これからもできるだけ洋班と近づけないようにしなければいけない。
『…そうだ』
唐突に洋班が口を開く。
『おい、豪統』
『はっ』
『俺は父上からお前に対しての命を仰せつかった。心して聞け。』
『ははっ』
父上、つまりは州牧からの関将である豪統様への命である。
多分この内容こそがこの洋班がこんな辺境へ来た理由なのだろう。
いったいなんなのだろうか。
洋班は懐より一枚の紙を取り出し、読み始めた。
『これより陵陽関にて治安向上の為、周辺の賊、および蛮族に対しての掃討を命ずる!尚っ、掃討作戦の指揮官は洋班に命ずる!以上!』
やりきったような顔で洋班が締める。
内容は要するにこの地の州牧様は自分の息子に実践の経験と賊掃討の名声を稼がせる為にわざわざ首都から離れたこの辺境にこのガキを遣わしたのだ。
だが、それなら洋班がこの地に来たのも頷ける。
基本的に賊は首都より離れた場所に発生するものだ。
何故かといえば、官軍の目から離れた場所にいれば、官軍側の行動する労力や時間などの理由から小さい規模なら目を瞑られる可能性が高いからである。
さらに、この地は元々蕃族との歴史がある地である為に賊、及び蛮族の数には困らないと踏んだのだろう。
だが、それはこの関に限っては見事に外れている。
そもそも賊に対しての対策は十分に進めていて、今ではすっかり関周辺は平和になっていた。
さらに蕃族にいたっては既に独自の共栄関係が出来ていて、互いに民族の違いはあれど商売相手である。
よっぽどの事がない限りは蕃族との問題は起きない。
それを州牧様は知らないようだ。
元烈国出身が聞いて呆れる。
だが、問題はそれではない。
豪統様はどうなさるのだろうか。
『…洋班様』
『ん?なんだその反応は。州牧の命に不満があるのか?』
『い、いえ、滅相もございません!ただ、その掃討する賊についてなのですが…』
『?』
これはどうしようもない。
賊は増やしたくて増やせるものではないし、そもそも現れてはいけないのだ。
洋班殿にはお引き取り願わなければ。
『実はこの近辺では賊は既に根絶やし、蕃族にいたっては既に友好関係を築いていまして…』
『…なんだと?』
わざわざこんな辺境に足を運んで頂いて申し訳ないですな。
『ならば蕃族を根絶やす』
『…は?』
…なんだと?
『
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