15 「はじまりの足踏み」
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から避難するように言いますけど…」
「大丈夫。一頭も通すつもりないから」
「…へっ?」
「まあ、飽くまでつもり、だけどね…。正直数頭は侵入を許すと思うけど、そこは頼んだ。大丈夫、エリザは落ち着いて一頭一頭確実に。こぼしたやつをリーゼが倒していけばいい。あとは、なんとしてでもこっちで抑える。村を踏み荒らさせはしない」
決意に満ちた表情に、思わずリーゼが尋ねる。彼と会ってまだふた月弱。何回も聞きたかったことだ。
「なんでそんなに…命をかけてまで…この村を助けてくれるんですか?」
「……それは、」
ナギ自身何故だろうと首をかしげた。進んで見張りを買って出てくれたヴェローナの鍛冶師見習いが、やぐらの上から「来たぞぉー!!」と声を張り上げるのが聞こえる。早足になりながらもナギは一瞬足を止めリーゼの顔を見ると、ふっと微笑んだ。見慣れない彼の微笑と、深い海色の瞳が自分を見つめていて、胸が高鳴る。
「この村が、俺を受け入れてくれたから、かな」
弓の最終チェックと瓶を装着していたエリザが「えっ」と顔を上げた。すぐにナギは踵を返し、門のむこうに立って白銀にきらめく得物を構える。その足元には、なれたように寄り添うルイーズの姿。
やがて50頭もの猪の突進による地響きが、立っていてもわかるほどになってきた。岩と岩の隙間から茶色い大群が向かってくる。
閃光玉を弓にくくりつけた鍛冶師見習いが、ごくりと喉を鳴らす。彼が最初の一矢を放って戦闘開始だ。合図は、最前線の彼。
「……放ェ!!」
ヒュッ...カッ!!
ブヒ――!!
戦 闘 開 始。
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