15 「はじまりの足踏み」
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謳われる【銀の太陽】ことリオレウス希少種の武器。使う武器のジャンルが異なれど、その武器に惹かれるものがハンター達にはあった。
「これ…これって、飛竜刀【銀】だよな…!? すげぇ、お前希少種のリオレウスまで狩れるのか! 旧大陸出身か?」
「ああ、はい」
「すげえ…」
持ち上げようとして「重いな」とぼやき、それでも両手で持ってちらりと鞘から抜くと、翼から削り出された鋭利な刃を見てまた声をあげる。切れ味が落ちているだろうから、また研いでおかねば。
懐から砥石と水、乾いた布を出すとその場でとぎ始めた。その様子を見ながらカエンヌが思い出したように口を開いた。
「ああ、そういえばまだちゃんと自己紹介してなかったな。オレはカエンヌ・ベルフォンツィ。出身はユクモからちと遠い農村だ。ロックラックのハンターズギルド本部からユクモ村に派遣された、専属ハンターだ。エリザの姉のオディルとパートナーを組んでる。かれこれ6年くらいになるか…。そういえばエリザとリーゼちゃんを渓流で助けてくれたんだっけか。ありがとう」
「いえ…」
カエンヌに対する違和感の原因がわかった。口調があのときと全然違う。こちらが素か。
「オレは今年で30になるが…お前、いくつだ?」
「22」
「若ぇな。それであの強さかよ……」
「渓流の奥に住んでいましてね。慣れてるだけですよ」
「…ナギ、お前その敬語やめねえか?」
「あー、年上と思ったらつい…」
「気にすんな。ハンターの世界は実力社会なんだからよ」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
曖昧に微笑むナギに肩をすくめると、不意にカエンヌが真面目な顔になった。何事かと問う前に、勢いよく土下座される。これは俗に言うジャンピング土下座か。ぎょっとしたナギは太刀を研ぐ手を止めた。
「頼む、ナギ。お前のその実力を買って、たのみたいことがある」
「何を…」
「村を、ユクモ村を守ってほしい」
オディルは負傷、カエンヌも負傷。残るリーゼロッテとエリザは新米ハンターで、大型モンスターといえどまだ飛竜を相手にできるほどの実力はない。
「最近モンスターの動きが活性化してるっつーのに、今ユクモ村を守れるハンターがいないんだ! 頼むから、せめて俺が戦えるようになるまで!」
「お、おい…」
「頼む! このとおりだ!」
「落ち着くニャッ」
ルイーズの軽いとは言えないネコパンチをくらいやっと懇願をやめたカエンヌに苦笑した。派遣されたハンターと言ったが、随分村のことを大切に考えているようだ。実力があるハンターにこれほど想われて、村人達も良いハンターと巡り合えたものだ。
ガラガラと音がして振り向けば、ガーグァ車が到着したようだった。またカエンヌに肩を差し出した。
「出来うる限り全力で、守るよ。弟
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