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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
15 「はじまりの足踏み」
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(ああ……)

 再び小さく息をつき、グッと拳を握り締めると問答無用で彼の体を起こした。びくりと震えたカエンヌに気づかないはずもなく、だが気づかないふりをして「身体の方は」と尋ねる。若干どもりながらも問題ないと答えたカエンヌは、おとなしくナギの肩を借りることにしたのか、火傷を負った左足を引きずって「イテテ」とうめいた。
 ルイーズはナギの頭に上るときゅっとナギを抱きしめた。小さなぬくもりは温かかった。
 ベースキャンプに着くととりあえずカエンヌをベッドに残し、討伐証拠としてレイアの素材を取りに行く。受諾者(カエンヌの筈が結果的にこれはナギの勝利となったわけだが)の狩猟完了を報告する為にどこかで見ている筈のギルドの雇われアイルーがいるが、まあ問題ないだろう。何を報告されるのかが少し怖いが。
 鱗を数枚、甲殻を何枚か、それに剥けた翼膜ももらっていく。以前リーゼロッテに怒られた為、それほど枚数は持っていかない。それから翼を切り落とした時に落ちたナイフも回収する。
 再びベースキャンプへ戻るが、まだ迎えの竜車は来ていなかった。

(さて…まずいぞ)

 カエンヌと2人っきり。どうする。
 ベッドに座る勇気もなく、キャンプを支える柱に背を預け腕を組んだ。帰りにデュラクは使わない。既に彼は渓流への空路を飛んでいるだろう。途中かわいい雌ナルガをみつけて道草を食わないといいが。
 そんなどうでもいいことを考えているから、低い声でボソッとカエンヌが言った言葉を聞き逃した。

「……すまなかった」
「は?」
「だから、初対面でいきなり殴りかかって、悪かったっつってんだ!」
「ああ…いや、そんな。別にいいですよ。怪我したわけでもないし」
「それでも謝らせろ。それから、その…感謝する」
「いや……あの子達にあんなに必死に頼み込まれたらね……」
「そうか。でも、ありがとう」

 ベッドに上半身を起こして頭を下げるカエンヌは、初めて会った時の印象より随分しおらしい。感謝も謝罪も慣れていないナギがわたわたと注意をカエンヌの怪我に向けると、快活な笑顔で「問題ない」と言った。
 出会いが出会いだっただけに、彼にそんな笑顔を向けられるのに違和感バリバリだが、とりあえず元気ならよかった。

「お前すげぇな」
「え?」
「翼を切り落としたり…あんな戦い見たことない。その太刀、見せてもらえねえか?」

 先ほどの恐怖の眼はどこへ行ったのか。なんだかキラキラと輝く瞳でこちらを見るその様子は、まるで10代の若者が何かのスポーツであこがれの選手に出会えたときのような、そんな純粋さがみられた。
 戸惑いつつ渡すと、いつぞやそれを見たエリザのように(流石にあれほどの狂喜乱舞っぷりではないが)歓声をあげた。ハンターならばまあ当然かもしれない。幻とも
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